宮崎大学、NTTデータ、ファイザーは12月5日、複数医療機関の電子カルテデータに適用可能な、肺がん患者の薬物治療効果を判定するAIモデルを構築したことを発表した。同モデルは、電子カルテの非構造化データを自然言語処理して薬物治療効果を抽出するもの。この研究結果は、2022年12月、ジャーナルAdvances in Therapyに掲載されたほか、2023年2月にHealth and Technology、2023年10月に医療情報学に論文としてそれぞれ掲載された。
今回の研究は、宮崎大学の電子カルテデータとLDIで有する複数の医療機関の電子カルテデータベースをそれぞれ利用して肺がん患者を対象に薬物治療効果を判定するモデルを構築し、非構造化データからの臨床アウトカム抽出方法を検討すること、および抽出した薬物治療効果から臨床研究で用いられる評価項目である疾患進行までの時間(TTP)を治療ラインごとに評価し、同手法の実用性を検討することを目的としている。
宮崎大学医学部附属病院に通院または入院した肺がん患者31例の電子カルテデータをベースに、大規模言語モデルBERTを用いてモデルを構築したうえで、6つの医療機関の電子カルテデータへの適用可能性と実用性を検証した結果、複数医療機関の電子カルテデータに適用可能であることや、同モデルで抽出した薬物治療効果から算出した臨床研究の評価項目は人が抽出した結果と同様の傾向を示すことを確認したという。
これらの結果から、構築した薬物治療効果判定モデルは複数医療機関の電子カルテデータに適用可能であり、また臨床研究で用いられる評価項目を評価可能であると確認したとしている。今後、学習データ量を増やす等により、さらなる精度向上が見込まれるという。