矢崎総業とNECは11月9日、ワイヤーハーネス製造において、NECの「NEC デジタルロボット動作計画ソリューション」を用い、複数台ロボットの動作プランをAIで自動生成する実証実験を実施したことを発表した。

今回の実証実験に用いられたシステムは、NECが開発した「NEC デジタルロボット動作計画ソリューション」と矢崎総業のワイヤーハーネス組立向けロボットシステムおよびシミュレータを組み合わせたもの。

具体的には、AIに製品デザインや作業内容など製品データを入力し、AIとシミュレータを連携させることにより、製造時間を最小化しつつ複数台ロボット同士や周囲の装置が干渉しないことを両立する動作プランを自動生成する。

動作後に干渉がある場合は、AIに通知して干渉を回避する動作プランを再計算し、さらに、新製品投入時や製品の仕様変更時、製品データをAIに入力すると、短時間で動作プランを算出し、複雑なティーチング工程を不要にするという。

  • ,製造現場に用いられる複数台ロボットイメージ

    製造現場に用いられる複数台ロボットイメージ

実証実験では、技術者が従来40日を要していたティーチング(産業用ロボットの動作プランを作成する作業)を不要化し、AIによってわずか1日で動作プランを自動生成できることが確認できたという。また、生産速度を高めるための動作プランをAIが試行錯誤し、製造工程にかかる時間の約10%短縮を実現した。

両社はこの結果を受け、2023年10月より、ワイヤーハーネスの量産に向けて試験を実施し、2025年7月の実用化を目指すことを決めたという。

  • ,ソリューションのシステム構成

    ソリューションのシステム構成

NECは、2024年に同ソリューションの製品化を目指すと共に、製造現場におけるデジタルツイン実現により、安定生産と品質向上に貢献したい考え。加えて、人手不足や技術伝承の課題解決に向け、本ソリューションをグローバルに展開していく予定としている。