会計ソフト大手のfreeeは11月8日、AI(人工知能)が契約書のレビューを支援する新サービス「freeeサイン|契約チェック」を11月10日より提供開始すると発表した。

同サービスは、秘密保持契約(NDA)、業務委託契約書、コンサル業務委託契約書の3つの書類に対応する。PDFやWord形式の契約書をアップロードするだけで、リスクを瞬時に洗い出し、解決案と修正案を提案する弁護士監修のAIサービスだ。AIが確認該当箇所を「重要度 高・中・低」にレベル分けして表示する。

さらに修正案を1つではなく、自社有利・中立・相手有利の三段階に分けて提案する。修正案はボタン1つでコピーすることが可能で、全12パターンのひな形をダウンロードして 使用することもできる。解説はなるべく難しい言葉を使わずにまとめているといい、修正案は複数のパターンが用意されている。

  • 契約書のアップロード 「freeeサイン|契約チェック」画面イメージ

    契約書のアップロード 「freeeサイン|契約チェック」画面イメージ

  • 契約書の種類を選択 「freeeサイン|契約チェック」画面イメージ

    契約書の種類を選択 「freeeサイン|契約チェック」画面イメージ

  • 確認部分を3段階で表示 「freeeサイン|契約チェック」画面イメージ

    確認部分を3段階で表示 「freeeサイン|契約チェック」画面イメージ

  • 修正方針、修正案を表示 「freeeサイン|契約チェック」画面イメージ

    修正方針、修正案を表示 「freeeサイン|契約チェック」画面イメージ

freeeが個人事業主から法人までスモールビジネス600名を対象に実施した契約に関する実態調査によると、契約書チェック業務について「自分でチェックしている」という回答は半数を超え、中には「あまりチェックしていない」という回答もあった。

  • 契約書チェック業務について「自分でチェックしている」という回答が最も多かった

    契約書チェック業務について「自分でチェックしている」という回答が最も多かった

また、法務担当者による契約書チェックの平均所要時間は「社内に法務担当がいない」が最も多く、担当がいた場合も「1日〜2日」が多かった。また、弁護士に契約書チェックを依頼した場合の1件あたりの費用については「1万円~5万円未満」との回答が一番多く、次いで「5万円以上10万円未満」だった。

  • 弁護士に契約書チェックを依頼した場合の1件当たりの費用は「1万円~5万円未満」「5万円以上10万円未満」が相場

    弁護士に契約書チェックを依頼した場合の1件当たりの費用は「1万円~5万円未満」「5万円以上10万円未満」が相場

11月8日に開かれた製品発表会でfreee 契約本部 PdMグループ マネージャーの森脇啓太氏は、「中小・零細企業では専門的な知識を持っている担当者がおらず、契約内容に不安が残るまま業務を進めてしまっているケースは少なくない。また専門知識のある担当者がいたとしても、一言一句調べながらチェックするので中々進まず時間がかかってしまう。弁護士など専門家に依頼しようとしても、契約書にかけるコストが膨大になってしまう。費用に対する効果が見合わず、結局自分でチェックするといった状況に陥っている」と現状を指摘した。

  • freee 契約本部 PdMグループ マネージャーの森脇啓太氏

    freee 契約本部 PdMグループ マネージャーの森脇啓太氏

なお、同サービスの料金は1アカウントあたり年額6万円。レビュー回数は無制限。なお同社は、リリースキャンペーンとして2024年3月31日まで年額3万6000円で提供するとしている。

同社は「freeeサイン」の今後の戦略として、従来から提供していた電子契約の送受信機能だけにとどまらず、AIなどの最新技術を積極的に活用し、契約プロセス全体を網羅するサービスへと進化させていく考えだ。

  • 「freeeサイン」の今後の戦略

    「freeeサイン」の今後の戦略