日本電気(NEC)は11月6日、水中音響通信モジュールを用いて海中での安定した双方向・長距離通信を実証したことを発表した。
水中音響通信は、海中での安定した通信を実現できる技術ではあるものの、その特性上、移動体への通信にはドップラー効果の影響があり、また水平方向には海面・海底などへの反射・屈折によるマルチパス波の影響があるため、移動する機器との通信や水平方向の通信には課題があった。
今回、NTTおよび三菱重工業の協力のもと、NECの送受波器技術や水密技術などのソーナー関連技術を応用するとともに、マルチパス波の影響を除去するNTTの時空間等化技術を組み合わせ、移動する機器間で水平方向の双方向・長距離通信を安定して行えることを実海面で実証した。
これにより、水中音響通信は深さ方向だけではなく、水平方向の数kmの範囲で水中無人探査機や水中ドローンを制御し活用するなど、様々な海洋産業のユースケースに対応が可能になるとしている。
NECは今後、通信モジュールの小型化や様々なパートナーとの実証実験を進め、2024年度の商用化をめざす。また、水中音響通信により、水中で活躍するドローンやロボット、水中IoT機器を広範囲かつシームレスに利用できるシステムを開発し、海洋産業の活性化さらには地球環境問題の解決に貢献するとしている。