2025年4月から10月まで大阪の夢洲で開催される2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)の準備が進んでいる。10月4日、18日には、国内の民間パビリオン出展社全13社のパビリオン構想が2回に分けて発表され、それぞれのコンセプトや外観が明かされた。

このうち、10月18日に行われた第2回構想発表会には吉本興業ホールディングスなど6社が登壇。発表に続いては、同イベントのスペシャルサポーターに就任したWebメディア「QuizKnock」から伊沢拓司氏、鶴崎修功氏をファシリテーターに迎えたトークセッションが行われた。

本稿では、各パビリオンの魅力を掘り下げた後半のトークセッションにフォーカスを当て、詳細をお届けする。

  • 左から、QuizKnockの鶴崎修功氏、伊沢拓司氏

子どもたちが未来を感じ・考えられるパビリオンへ

伊沢氏:総合プロデューサーの落合陽一さんは事務所の大先輩なので、負けないように我々もサポーターとして頑張りたいと思います。では、さっそく始めていきましょう。

吉本興業ホールディングスのパビリオンは、球体を形取った特殊な外観のエントランスと広場で構成されると発表されましたが、このパビリオンではどんな催しが行われるのでしょうか。

  • 左から、吉本興業ホールディングス 代表取締役副社長 泉正隆氏、パソナグループ 常務執行役員 伊藤真人氏、ゼリ・ジャパン 事務局長 竹内光男氏

泉氏:広場はタレントだけではなく、お客さまも含めた全ての人が自由に表現できる場にしていきます。世界の子どもたちの笑顔が広がってつながる“一つの旅”のようなパビリオンだと考えていただければと思います。笑顔いっぱいの空間を作りたいと考えております。

伊沢氏:もしかしたら、出たい!と思う人が出られるようなステージになるのですね。

鶴崎氏:パソナグループでは、ナビゲーターに鉄腕アトムを迎えますね。どうしてアトムを起用しようと思ったのでしょう。

伊藤氏:老若男女問わず親しみを持ってもらえるのではないかと考えたからです。アトムは「科学の子」という設定で、人間になりたいと思ってもなれない葛藤を抱えていました。弊社パビリオンでは人や自然と科学技術が調和した新しい生命体として、アトムを象徴的に表現したいと思います。また、「ネオ・アトム」という新たなキャラクターも登場しますので、乞うご期待というところですね。

伊沢氏:可能な範囲で良いのですが、どのような姿になるかお伺いできますか……?

伊藤氏:再生医療で出来た細胞と、科学技術で生まれたロボットが融合した新たな存在としてのネオ・アトムを構想中です。

伊沢氏:超目玉のパビリオンになりそうですね。ゼリ・ジャパンは、海をテーマにパビリオンを構想されていますが、普段から海の保全活動をされているんですよね?

竹内氏:千葉県南房総市で自然の家を営んでいるNPO法人の方がいるのですが、その方々曰く、アワビやサザエの収穫量が減っているそうなんです。原因は藻場がなくなってきていることだったので、藻場の再生を今年の5月から一緒に行っています。また、直近では南房総市の中学生とともにビーチクリーン活動も実施する予定です。こうした取り組みをパビリオンでも発信したいですね。

伊沢氏:2年後にはアクティブな中学生たちの姿もパビリオンで見られるかもしれませんね。

  • 伊沢氏は各社のパビリオン構想へ興味津々の様子

ガンダム、西陣織、大阪の外食文化から未来が見える?

  • 左から、バンダイナムコホールディングス チーフガンダムオフィサー 藤原孝史氏、飯田グループホールディングス 代表取締役専務 西野弘氏、大阪外食産業協会 食博覧会実行委員会 事務局次長 成瀬研治氏

鶴崎氏:続いて(「機動戦士ガンダム」をパビリオンの主軸コンテンツに据えた)バンダイナムコホールディングスにお話を伺いましょう。ガンダムと言えば、「人類の未来」が描かれている作品かと思います。ガンダムは人類の未来に、どのように関わっていくと思いますか?

藤原氏:アニメの中で、ガンダムは戦う兵器として描かれました。一方、ガンダムに登場するテクノロジーは、使い方次第で人間の可能性が広がるものだと思います。ガンダムと人類が共存する世界を考えた時に、いろいろな可能性が見いだせるのではないでしょうか。実際、ガンダムからインスパイアを受けたという技術者の方々の声はよく耳にします。そういった方々にも、ガンダムと描く明るい未来をパビリオンで体感してもらいたいです。

鶴崎氏:兵器としてのガンダムではなく、ガンダムを取り巻く技術たちが人間の未来につながっていくのですね。

伊沢氏:飯田グループホールディングスは、未来と伝統の融合をテーマに西陣織をまとったパビリオンを作られますね。数ある伝統工芸品の中で、西陣織をチョイスした理由はどこにあったのでしょうか?

西野氏:西陣織は1200年ほど前に生まれた技術ですが、織り方や素材などにさまざまな工夫を凝らして今の形があります。今回は、新たな特殊加工を加えて、5000平方メートル以上の西陣織を一気に織り込んでパビリオンを作ります。来場者にはそのスケール感に驚いてもらいたいのに加えて、西陣織がさらに進化を重ねていくこと、残すべき素晴らしい日本の技術だということを知ってもらいたいです。

伊沢氏:新たな“映えスポット”にもなっていきそうですね。

鶴崎氏:最後に、大阪外食産業協会にお話を伺います。外食は今までずっと続いてきた文化かと思いますが、外食の未来の姿はパビリオンでどのように感じられるのでしょう。

成瀬氏:我々は、ただご飯を提供するフードコートを作るわけではありません。2階建てのパビリオンの中で、子どもたちが将来の職業選択の時にこの業界を選択したくなるような「食」への可能性を感じてもらえる体験を用意したいです。

鶴崎氏:このパビリオンで得られる体験は、きっと子どもたちにとって未来を感じられるような体験になるのですね。

6社のパビリオンへ行く“意味”を一言でプレゼン

伊沢氏:今度は、全体にもっとスケールの大きな質問をしていきましょう。

鶴崎氏:そうですね。数多くのパビリオンが出展するこの万博で、皆さんのパビリオンへ行く意味とは何なのでしょう。

  • 鶴崎氏は各社の見どころを深ぼった

泉氏:広場がございますので、180日間色々なイベントを行います。朝から晩まで期待に応えて、子どもたちの笑顔が生まれるようなパビリオンを作ります。

伊藤氏:未来の人々に、私たちが描く新しい生き方・働き方を感じていただける場所にしていきたいですね。

竹内氏:海を主語にした持続的な海洋資源の活用や海洋問題など、あらゆる問題提起を行っていきます。これから行うべきことを、地球の市民として考えていただけるようなパビリオンづくりを目指します。

藤原氏:我々は日本を代表するキャラクターであるガンダムを使ったパビリオンになりますので、(日本には)日本らしさや魅力がたくさんあるんだ、ということが伝わってほしいですね。

西野氏:今回のパビリオンほど大規模な西陣織を見られる機会はそうないと思います。また、大阪公立大学との共同研究では「住宅にいながら自分の健康状態がわかり、AIがアドバイスをくれる」仕組みを作っています。パビリオンではその一端を垣間見ていただくことができます。

成瀬氏:ここでしか味わえないものを提供していきたいです。新・大阪名物として新たなプロダクトを作って大阪全体から食を盛り上げたいです。

伊沢氏:皆さまが盛り上げていきたいポイントもたくさんお伺いできましたね。本日はありがとうございました。

鶴崎氏:ありがとうございました。