矢野経済研究所は8月30日、国内メタバース市場に関する調査結果を発表した。これによると、国内メタバース市場の2022年度における規模は1377億円となる模様であり、法人向け市場の立ち上げ後にコンシューマー向けメタバースのユーザーが本格的に拡大し、2027年度には2兆円を超える見込みだ。

2022年度の市場規模(プラットフォーム、コンテンツ・インフラなど、XR機器の合算値)は、2021年度と比べて73.6%増の1377億円となり、2023年度は2022年度と比べて107.0%z増の2851億円に成長する見込み。

2022年度までは、試験的に事業参入する企業や新技術に関心の高い企業が積極的にメタバース事業に資金を投入し、多様な取り組みが行なわれた。また、自治体や行政もメタバースを使用した取り組みに参加し、多様な分野でメタバースを利用したサービスが提供された。

参入事業者各社のビジネス・モデルも明確化してきており、市場環境が整ったことで、業績を伸ばしている企業も増えているという。この流れは、今後メタバース市場が本格的に拡大する可能性を示しているといい、期待が高まっていると同社は分析する。

  • 国内メタバース市場の規模推移・予測 出典: 矢野経済研究所

将来の展望としては、国内のメタバース市場において、まず法人向け(エンタープライズ)市場でメタバースを次世代プラットフォームとして使用する企業が増え、その後一般消費者を対象とするコンシューマー向けメタバースのユーザーが次第に増えて市場が拡大する見込みといい、2027年度の国内メタバース市場規模は2兆円を超えると同社は予測する。

事業者や分野ごとに見ると、今後メタバースでのコンテンツ制作のニーズは増えると同社は考えている。

クリエイター・エコノミー(個人クリエイターが制作物を提供し収益を上げる市場)がメタバース上に形成される段階に進めば、デジタル・コンテンツの流通市場が大きく伸びて、それに伴いメタバース・プラットフォーマー(プラットフォーム運営事業者)の売上も伸びていくと同社は見る。

また、メタバースのシステムを支えるインフラ技術(3D環境構築エンジン、クラウド、XR、NFT、AI技術など)を提供するメタバース・インフラ事業者も、市場が成長すれば需要が急増する見通しだという。

メタバース・サービスで利用されるXR(VR/AR/MR)機器に関しては、まず既存のスマートフォンやPCを中心にサービスが広がり、ある時点から高機能なXRデバイスが普及し始めることで、本格的にコンシューマー向けメタバースに浸透していき、デバイス・メーカーの売上が拡大する見込みだと同社は推測している。