米政府は8月7日、国内の保育園から小、中、高校向けのサイバーセキュリティ対策に乗り出すことを発表した。学校を狙うサイバー攻撃が増えており、被害が深刻化していることを受けてのもの。Amazon Web Services(AWS)など民間企業も協力する。

米国では2022-23年度、8校が大規模なサイバー攻撃を受け、そのうち4校が授業中止や休校に追い込まれた。攻撃により、個人情報の不正取得や学校のシステムに関する情報がオンライン上に流出するなどのことにも発展した。

例えば、今年3月に明らかになったミネアポリスの公立学校地区のランサムウェア攻撃では、攻撃集団が不正に取得したデータを表示するビデオを作成し、データの販売を試みたという。

米政府の会計検査院では、サイバー攻撃による学習機会の損失は3日~3週間、復旧に要する時間は2カ月~9カ月としており、財務的な損失は5万~100万ドルにも及ぶと推計している。

そのような状況もあり、米政府は学校のサイバーセキュリティ対策支援の強化として、米サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁(CISA)によるトレーニング、3年で2億ドル規模のパイロットプログラムなどの取り組みを発表した。

民間企業では、AWSがすべての学区を対象に、トレーニングなどに使える2000万ドル規模の助成金を提供すること、Cloudflareが生徒数2500人以下の学校に無償で「Zero Trust」ツールを提供することなどが発表されている。