エネットとPwCコンサルティングは8月4日、生成AIを活用して、電気事業に関する制度改正などが、電力業界に与える影響を分析・評価するための実証実験を開始したことを発表した。
電気事業制度は、 2016年「小売全面自由化」による多数の事業者参入による競争拡大、燃料価格高騰などの影響による市場価格のボラティリティの顕在化、再生可能エネルギー導入加速に伴う火力発電所の稼働率低下などによる供給力不足問題といった諸課題解決のため、経済産業省を中心にさまざまな委員会での議論を通じ、適宜改正されている。その論点・情報は多岐にわたるため、一元的に把握・理解し、迅速かつ適切に対処することの難易度が高くなっているという背景があるという。
今回の実証実験では、生成AIを活用し、制度改正の論点や背景を体系的に分析・整理することにより、制度変更内容の把握や影響評価の効率化、事業活動や政策提言への迅速な反映、顧客に対するより迅速かつ正確な情報提供の実現を目指す。
今回の実証実験においてPwCコンサルティングは、生成AIのチューニングを含むデータサイエンティストによる技術検証、業務トライアル、効果検証という本格導入に向けた一連の取り組みを伴走支援する。
PwCコンサルティングでは、この取り組みは、電力システム改革を進める政府・省庁および関連する事業者間の情報格差を解消し、電気事業の健全な発展に向けた意見形成を補助することにもつながると考えているという。