フィンランド通信機器大手のノキアは7月27日、年次イベント「Nokia Connected Future 2023」を東京・虎ノ門で開催した。同社は2月27日から3月2日にスペイン・バルセロナで開催された世界最大級のモバイル関連見本市「MWC23 Barcelona」にて、約60年ぶりにロゴを刷新した。
今回のイベントは、ロゴ刷新後の同社が初めて国内で行うイベントで、最新の事業・技術戦略を発表。デモなどを通じて、最新のモバイルネットワーク技術やインフラ技術に触れることができた。
「Nokia Connected Future 2023」に登壇したノキアのRAN(無線アクセスネットワーク)製品管理部門の責任者であるブライアン・チョー氏は、同社のRANソリューションが日本のCSP(クラウド サービス プロバイダー)、通信事業者、および企業に対して柔軟性をもって提供される方法を紹介した。
同社は2019年以降、世界中で46社の通信事業者と新規契約を結んでおり、主要地域で303件の5G(第5世代移動通信システム)の契約を結んでいる。また、635以上のエンタープライズ企業が同社のネットワークソリューションを導入しており、チョー氏は「世界中の事業者や企業が、ミッションクリティカルネットワークの構築において、ノキアのパフォーマンスに期待している。当社はワイヤレス分野において持続可能な優位性を構築している」と胸を張った。
ノキアは「MWC23 Barcelona」にて、通信事業者や法人に向けたネットワーク構築支援サービス「any RAN」を発表した。同サービスは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やGoogle Cloud、マイクロソフトなどと連携し、顧客の要望に合わせてノキアが一貫して通信網の構築を支援するものだ。
「今後の無線ネットワークは、2つ以上のアーキテクチャに基づく“ハイブリッド”なネットワークになる。クラウドRAN(クラウド型無線アクセスネットワーク)や、複数メーカーの機器を組み合わせるオープンRANなど、RANは段階的に進化するだろう」と、チョー氏は予測した。
同社はハイブリッドネットワークに対応するための機器やソリューションを提供している。例えば、「Cloud RAN インラインL1アクセラレーション」という製品は、「インライン」と呼ばれる方式を採用しており、L1アクセラレータは、サーバのメインボードから分離されるため、あらゆるベンダーのサーバが使用できる。
また、オープンRANに対応したBBU(ベースバンド装置)も提供しており、「ベンダーロックイン(特定の会社の製品・サービスに依存すること)を最小限に抑制している」(チョー氏)という。
また今回のイベントでは、室内向けの無線基地局や、「MWC23 Barcelona」で発表した最新の無線機「Habrok」などが展示されていた。同無線機は、消費電力の削減と軽量化を実現しながら高性能の無線機能や広い周波数帯域幅を備えている。
進化するパフォーマンスにも対応した次世代のAirScale Massive MIMO無線機なども発表しており、今回のイベントでも展示されていた。
チョー氏は「あらゆるお客様、アーキテクチャ、クラウド・インフラストラクチャ、ハードウェアに対応できるマルチレベルのコラボレーションによる優位性を提供できるのが当社の強みだ」と説明していた。