アン・コンサルティングは7月4日、全国の現役エンジニア200人およびエンジニア志望の学生100人を対象に実施した、生成AI(人工知能)に関する調査の結果を発表した。これによると、エンジニアの13.5%が業務で、学生の24.0%が授業で、生成AIの使用経験があるという。

同調査は同社が6月14日から16日にかけて、インターネットにより実施したもの。業務や授業での生成AIの使用経験を尋ねたところ、業務で使用したことがあるエンジニアは13.5%、エンジニアを志望の学生では24.0%に経験がある。「まだ使ったことはないが、使いたいと思う」を合わせると、エンジニアの37.5%、学生の50.0%が使用意向を示した。

  • 生成AIの使用経験 出典: アン・コンサルティング

使用した内容を聞くと、エンジニアのでは文章作成が59.3%、文章の要約が51.9%、コード生成が37.0%の順に多い。学生では文章の要約が50.0%、レポート作成が41.7%だった。エンジニアも学生も、設計や設定よりも文章に関する用途での使用が多いようだと同社は分析する。

  • 使用した内容(エンジニア、複数回答) 出典: アン・コンサルティング

  • 使用した内容(学生、複数回答) 出典: アン・コンサルティング

業務・授業・プライベートに関わらず使用経験がある生成AIの種類では、ChatGPTが38.0%と、2位以下に大きな差を付けて最多だった。以下、Bing(Microsoft、14.3%)、Bard(Google、5.7%)が続く。

  • 使用経験がある生成AIの種類(複数回答) 出典: アン・コンサルティング

エンジニアの勤務先や学生が通う学校で生成AI使用を禁止しているかを質問すると、エンジニアでは28.0%、学生では37.0%が禁止している。一方、禁止していないとの回答は、エンジニアで40.0%、学生で25.0%であり、学校の方が生成AIの使用を禁止または制限している割合が高い。

  • 勤務先や学校での生成AI使用の禁止状況 出典: アン・コンサルティング

エンジニアの勤務先や学生が通う学校で生成AI使用に関するルールがあるか聞いたところ、エンジニアの33.5%、学生の45.0%がルールがあると回答した。生成AI使用の際のルールを設けている割合は、企業よりも学校が高い状況にある。

  • 勤務先や学校での生成AI使用ルールの有無 出典: アン・コンサルティング

エンジニアに勤務先での生成AI使用に関するルールの詳細を尋ねると、「個人情報に関する業務では使用しない」が86.6%と最多、「機密情報に関する業務では使用しない」が76.1%で続き、情報管理に関するルールを重視している。

また、「著作権に関わる業務では使用しない」(58.2%)、「画像生成は使用しない」(32.8%)など、生成AI使用に関する明確なルールを定めていると同社は推察する。

  • 勤務先の生成AI使用ルール(複数回答) 出典: アン・コンサルティング

学生では「試験の解答に使用しない」「レポート等の解答で使用しない」といった評価に関わる項目がいずれも7割を超えており、個人の実力を測るテストなどでの使用を禁じるルールが多いようだと同社は見ている。

  • 学校の生成AI使用ルール(複数回答) 出典: アン・コンサルティング

全回答者に生成AI使用のリスクを質問したところ、著作権の侵害が55.3%と最も多く、以下、偽情報の拡散(54.7%)、個人情報流出の恐れ(43.3%)が続く。

同社は、生成AI使用の際は流出や拡散といったリスクを理解した上での利用が大切だと指摘した上で、情報に関しては引用元や出典を確認するといったルールを定めた運用がリスク回避には重要だと提言する。

4位は失業者の増加(15.3%)であり、生成AIが人間の仕事を代行できるようになっていくことで、仕事を失う人が増えるのではないかとの懸念もあるようだと同社は見る。

一方、「ルールやガイドラインなどに従えばリスクはない」と24.0%が回答しており、ルールやガイドラインをしっかりと守って利用することで、生成AIを安全に活用できると考える人が一定数いるのが現状だ。

  • 生成AI使用のリスク(複数回答) 出典: アン・コンサルティング

同じく全回答者に、生成AIの利用に関する規制は必要だと思うか尋ねると、「強い規制が必要だと思う」が9.7%、「なんらかの規制が必要だと思う」が67.7%であり、計77.3%が規制が必要だと考えている。

  • 生成AIの使用に規制は必要だと思うか 出典: アン・コンサルティング

国家プロジェクトであるスタートアップ・キャンパス構想の実現により優秀なIT人材が増えていくことに期待するか聞いたところ、全回答者のうち「期待する」が21.7%、「どちらかと言えば期待する」が53.0%で、計74.7%が期待を寄せている。

  • スタートアップ・キャンパス構想への期待度 出典: アン・コンサルティング

生成AIの開発に携わってみたいと思うか質問すると、エンジニアの3.0%が「すでに携わったことがある」、5.0%が「これから携わる予定がある」と回答した。 「携わる予定はないが、携わってみたいと思っている」との回答が38.5%あり、約4割のエンジニアが将来的に生成AIの開発に携わりたい意向を持っている。

エンジニア志望の学生でも2.0%が「すでに携わったことがある」、5.0%が「これから携わる予定がある」と回答しており、既に生成AIの開発に携わる学生が存在する。

また、52.0%の学生が「携わる予定はないが、携わってみたいと思っている」と回答し、関心の高さが現れだと同社は見る。

  • 生成AIの開発に携わってみたいか 出典: アン・コンサルティング