オートメーション・エニウェアは6月23日、同月12日にオートメーション・サクセス・プラットフォームにおいて、安全かつ確実に生成AIを活用し、企業全体の生産性を加速し、すべての企業がデジタルワークフォースを構築できるよう支援するというミッションに向けた3つのサービスを発表したことを受け、記者発表会を開催した。

発表会には同社のカントリーマネージャーである由井希佳氏が登壇し、3つのサービスやGoogleやAWSとのAI分野におけるパートナーシップ強化について説明した。

本稿では、その一部始終を紹介する。

生成AIを活用した3つのサービス

由井氏は最初に「生成 AIが自動化に組み込まれている主なユースケース」を3点紹介した。

「生成 AIが自動化に組み込まれているのは、『コンテンツの生成』『情報の要約』『情報の抽出』という3つのユースケースが多いです。例えば、『コンテンツの生成』であれば、カスタマーサービスのオペレーターが、生成 AI を使用してパーソナライズされた顧客メールを作成したり、『情報の要約』であれば、契約レビューにおいて大量のドキュメントをすばやく読み、重要な情報を要約しシステムを更新したり、といったことが挙げられます」(由井氏)

  • オートメーション・エニウェア カントリーマネージャー 由井希佳氏

そんなユースケースを踏まえ、今回、由井氏から発表されたのは以下の3つの生成AIを基盤とする自動化の未来だ。

・Automation Co-Pilot+生成AI for Business Users(ビジネスユーザー向け)
・Automation Co-Pilot+生成AI for Automators(プロセスやBotの自動生成支援)
・ドキュメント・オートメーション+生成AI

Automation Co-Pilot+生成AI for Business Users(ビジネスユーザー向け)

同社は2022年、アプリケーションに組み込んだ形で利用する自動化アシスタント「Automation Co-Pilot」を発表した。

「Automation Co-Pilot+生成AI for Business Users」は、「Automation Co-Pilot」にGPTを搭載し、コンテンツの作成、要約からメールの送信、推薦文の提供までを、あらゆるシステムで実行できるようにするもの。

同サービスの特徴としては「あらゆるアプリケーションとワークフローにわたるシームレスな生成 AI を活用した自動化で、ビジネスユーザーが選択した主要なアプリケーションから直接アクセス可能」であることや、「自動化+生成AIによる自動化の可能性により、パーソナライズされたカスタマーサービスや圧倒的なスピードと効率でオペレーションの変革を実現」していることがある。

加えて、人間の監視とカスタマイズされたガードレールによって、AI 機能を制限し、意図しない結果やリスクを最小限に抑えるコンプライアンス、プライバシー、セキュリティを遵守することも可能になっている。

Automation Co-Pilot+生成AI for Automators(ロセスやBotの自動生成支援)

このサービスは、「Automation Co-Pilot」に対して、開発者エクスペリエンスを組み込んで生成AIと接続することで、プロの開発者からビジネスユーザーまで、誰もが生成AIを使用して会話から自動的にプロセスやBotに変換し、自動化へのスピードを加速するものだという。

このサービスによって、Automation Co-Pilotと自然言語で会話することでオートメーションを素早く作成し、組織内の事実上すべての人にオートメーション開発を開放することが可能となっている。

同サービスは現在、予約受付中で、7月にプレビューが公開される予定だ。

ドキュメント・オートメーション+生成AI

ドキュメント・オートメーションは、構造化および半構造化に加え、増え続ける非構造化ドキュメントからデータを迅速に理解、抽出、要約するために、生成AIのパワーを使用している。

ドキュメントの種類が増えるということは、より多くのデータを解き放つことができることを意味しているほか、オートメーションと連携しているため、データをプロセスワークフローにそのまま挿入することができ、他システム間連携や変換が不要になるという特徴も持っているという。

  • 3つのサービスのイメージ

AIの責任ある活用に関する4つの留意点

同社はこれらのサービスに加えて、GoogleやAWSとAI分野においてパートナーシップ強化を行ったことも発表している。

Googleとのパートナーシップでは、Google Vertex AIを介してGoogle Cloudの大規模言語モデル(LLM)を活用し、オートメーション・サクセス・プラットフォームに新しい生成AIパッケージを搭載することで顧客の新たな自動化ユースケースを拡大する。

またAWSとのAI分野でのパートナーシップ強化では、オープンソースの事前学習済みモデルを提供するサービス「Amazon SageMaker」とFoundation Model(FM))にAPI経由で簡単にアクセスできるAWSのフルマネージドサービス「Amazon Bedrock」を活用し、生成AIでデプロイの選択肢を提供することで顧客のさらなる自動化ユースケースを拡大する方針だ。

このように、同社はAIを用いたサービスやパートナーシップの展開を広げているが、由井氏は、AIを活用するにあたって、以下のように4つの留意点を挙げた。

「AIに関して責任を持って活用する上で、4つの点に留意する必要があります。『安全なモデル選択』『ガードレール使用上の注意』『ヒューマン・イン・ザ・ループ』『パフォーマンスモニタリング』の4点です。『安全なモデル選択』は、モデルの品質とデータを保護する能力に基づいて LLM を選択することを指し、『ガードレール使用上の注意』は、オートメーション Co-Pilot を使用して自動化のワークフローにあらかじめ定義された入力プロンプトを提供することを指します」(由井氏)

残りの「ヒューマン・イン・ザ・ループ」は、AI が提供する出力を人間が評価・検証してその正確を確認すること、「パフォーマンスモニタリング」は生成AIモデルの入力と出力をログに記録されることを確認し、モデルのパフォーマンスを追跡しながら潜在的な問題を指摘することを指しているという。