6月6日から8日まで、東京ミッドタウンで「Advertising Week Asia」が開催された。このイベントは、マーケティングや広告に関する最新のソリューションや知見が紹介されるグローバルイベントのアジア版だ。

本稿ではその中から、コネクテッドテレビの登場によって訪れたYouTube広告の変化と、YouTube広告の顕著な効果を得た「ブリザック」および「家庭教師のトライ」の事例が語られたトークセッションの模様を紹介しよう。はたして、従来のPC・モバイル端末に向けたYouTube広告と、コネクテッドテレビに向けて出稿したYouTube広告では、どのような変化が見られたのだろうか。

  • 「Advertising Week Asia」会場(東京ミッドタウン)

    「Advertising Week Asia」会場(東京ミッドタウン)

インターネットに接続されたテレビの普及と生活への浸透

講演の前半では、コネクテッドテレビでのYouTube視聴態度の特徴について、特にユーザー視点から語られた。コネクテッドテレビとは、スマートテレビやストリーミングデバイス、ゲーム機などでインターネットに接続されたテレビを指す。コネクテッドテレビでは従来の地上波放送やBS / CS放送に加えて、インターネットを介して動画配信サービスを視聴できる。

スマートテレビのデバイスのみに着目すると、2016年から2022年まで1日あたりの視聴時間は変化が見られないそうだ。「テレビ放送」ではなく、テレビというデバイスとして考えると、実は意外と「テレビ離れ」は起こっていないそうだ。

2023年3月時点では、全テレビ端末のうち34%がコネクテッドテレビであり、2022年4月から約5%増加している。また、2023年2月時点ではコネクテッドテレビで配信動画を視聴する時間の割合は40%で、動画視聴時間に占める無料動画の割合は68%。それぞれ前年同月から10%および3%の増加だ。視聴者の生活にコネクテッドテレビが普及している様子がうかがえる。

  • コネクテッドテレビの急速な普及がみられる(資料:インテージ)

    コネクテッドテレビの急速な普及がみられる(資料:インテージ)

インテージの調査から、コネクテッドテレビ(スマートテレビのみ)におけるYouTubeの1日あたりの平均視聴時間は1.31時間であることが明らかになっている。地上波の合計が3.86時間、キー局1局あたりの平均時間が0.76時間であることから、YouTubeは今やキー局に匹敵する、あるいはそれを上回る動画プラットフォームであることが分かる。

  • コネクテッドテレビでのYouTube視聴時間(資料:インテージ)

    コネクテッドテレビでのYouTube視聴時間(資料:インテージ)

YouTubeを見る態度と視聴者のニーズ変化

スマートフォンやタブレット端末ではなく、コネクテッドテレビでYouTubeが視聴されるようになったことで、視聴者のニーズにも変化が起きているという。読者の皆様も、使用するデバイスによって動画のジャンルが異なるという経験をお持ちではないだろうか。もしくは、視聴したい動画のジャンルによって適切なデバイスを選択しているのではないだろうか。

salt consultingが実施した調査から、視聴者のニーズ変化の傾向がうかがえる。同調査によると、「空いた時間に好きな番組や動画を見て時間を過ごす」や「家族などと画面を共有して好きな番組を共有する」のような従来のテレビが担っていた役割に加えて、コネクテッドテレビでのYouTube視聴は「気になる商品・サービスの情報を検索する」や「フィットネスや料理、メイク、楽器演奏など、動画をまねしてアクティビティを行う」など、"テレビを使って役立てたい"という需要に対応する役割も持ち始めているとのことだ。

  • テレビを「使って役立てる」という需要が高まっているようだ(資料:インテージ)

    テレビを「使って役立てる」という需要が高まっているようだ(資料:インテージ)

  • コネクテッドテレビに求められる役割

    コネクテッドテレビに求められる役割