日本電信電話(NTT)は5月15日、風力発電風車の無停止点検を実現する技術の実証実験を開始したと発表した。同社によると、同様の実験は世界で初めてとのこと。

  • 技術の利用イメージ

新技術では、点検対象構造物を挟み込む形で飛行させた2機のドローン間で微弱無線を送受信し、その受信信号の変化を解析することでフレネル・ゾーン(無線送受信の距離と周波数によって決まる、無線が伝搬する空間)内の点検対象構造物の損傷有無を検知するという。

  • 判定する損傷レベル

従来は風車を停止し点検を行っていたため、発電効率の低下が生じていたが、同技術ではこれを回避可能とすることで、発電効率向上によるカーボン・ニュートラルへの貢献を目指すとのこと。

同技術の特徴として同社は、1)自律飛行ドローンを無線の送信機と受信機として使用、2)無線局免許不要の微弱無線を使用するため場所を問わず使用可能、3)フレネル・ゾーンを容易に変更可能、4)フレネル・ゾーン内の受信信号の変化を検知可能の4点を挙げる。

  • 屋内実験の内容

実験は、屋内および屋外の2種類を実施した。

屋内実験は、同技術で構造物の損傷有無を検知可能であることを確かめるため、ノイズ影響の少ない実験室でフレネル・ゾーン内の受信信号の変化を検知することを目的としたもの。 この検知は風車停止状態で行う画像撮影・解析などによる点検の前段階での使用を想定しているとのこと。

実験の結果、運転に影響する計画的に補修を行う状態と保安停止を要する状態の損傷有無の検知に成功したという。

  • 屋外実験の内容

屋外実験では、2機のドローンを微弱無線の送信機と受信機に見立て、上空で微弱無線を送受信した。

その結果、上空30mでの微弱無線送受信に成功し、2機の自律飛行ドローンの操作により上空で微弱無線の送受信距離を意図通りに変化させ、フレネル・ゾーンを容易に変更できることを確認したとのこと。

同社は今後、技術確立に向けて、実際に屋外で運転中の複数の風力発電風車に対して同技術を使用する実験を実施し、屋外の実物でも損傷検知が行えることを確認する予定だ。