NTT東日本、NTT DXパートナー、Konelは、春の睡眠の日である3月18日に、《sasayaki lullaby》の生演奏を聴きながら眠りに落ちる“寝落ちするための演奏会”「ZZZN(ズズズン) - LISTEN AND SLEEP -」を神奈川県箱根にある老舗旅館『吉池旅館』にて開催した。
《sasayaki lullaby》は、2022年の「世界睡眠デー」にソニー・ミュージックジャパンインターナショナルからローンチされた大ヒット洋楽曲をささやき声でリアレンジカバーした“おやすみ前専用の入眠プレイリスト”。「ZZZN - LISTEN AND SLEEP -」では、この《sasayaki lullaby》の生演奏ライブが行われる中、眠りに落ちることを目的とした“睡眠に特化した宿泊型ライブイベント”で、国内では初の取り組みとなる。
同イベントの主催に名を連ねる「ZAKONE」は、新たに睡眠市場に参入したい企業や既に睡眠市場で活動している企業の共創による更なる睡眠市場発展を目的とした仮想コミュニティ。イベントには、「ZAKONE」に参画する企業などによる、睡眠の質を高めるさまざまなコンテンツが用意された。
睡眠とNTT東日本という違和感のある組み合わせが目指すものは何か?NTT東日本 スリープテック事業のディレクターであり、「ZAKONE」の立ち上げから関わり、全体運営リードを担当する尾形哲平氏に話を伺った。
NTT東日本がなぜ“睡眠事業”に取り組むのか?
NTT東日本のビジネスイノベーション本部にて、AIや5Gといった新しい技術に関する支援を行っていく中、イントレプレナーとして、睡眠に関する事業、スリープテックに関わり始めたのは2019年の秋ごろと語る尾形氏。
「われわれ中堅社員はいろいろなタスクを抱えていますが、プレミアムフライデーなどの影響で、業務時間が絞られていきます。それを解決するには個々のパフォーマンスを高めるしかないということで、その手段として“仮眠”に行き着きました。仮眠が脳の覚醒を最大化するという話があり、仮眠をテクノロジーと組み合わせれば課題の解決に近づくのではないか――それが、スリープテック事業のスタートでした」(尾形氏)
NTT東日本と睡眠事業。一見、まったく関係のない分野であるが、睡眠に関連する企業をつなぐ“ハブ”になれるのが、NTT東日本ならではの強みだという。
「われわれは、睡眠の医学的な知見を会社として持っているわけではないので、パートナーと組む必要があります。そして、それを市場に広げるために、われわれが持つ通信をはじめとしたさまざまなテクノロジーを掛け合わることができるのではないかと考えました。企業をつないで、新しいプロジェクトのモデルを作るのは、当社が得意としているところですから」(尾形氏)
睡眠×音楽×テクノロジーで新たな体験を
スリープテック事業を進める中で、今回開催された「ZZZN - LISTEN AND SLEEP -」。その開催に至る経緯には、「睡眠を楽しむ」というキーワードが浮かび上がってくる。
事業を立ち上げた当初、睡眠に関する検証や改善といった、硬めの事業を進めていたが、「それだけでは広がりません。睡眠を計測して改善することは非常に大事なことではありますが、それ以上に、『睡眠を楽しむ』『睡眠をとった先の価値』までを提案できなければ厳しいのではないかと思いました」と、尾形氏は語る。
そのためには、企業とのコラボレーションが必要になるが、今回は睡眠と音楽を掛け合わせることで、何が提供できるか、どんな体験を届けることができるかを考えたとき、ソニーミュージックジャパンインターナショナルとKonelが手掛けていた《sasayaki lullaby》というコンテンツに出会ったという。
当初は、《sasayaki lullaby》という音楽自体が睡眠に対してどのように作用するかを検証することを目的としていたが、そこに事業の立ち上げ当初から尾形氏が抱いていた想いが結びついたという。
「マックス・リヒターの『SLEEP』というコンサートでは、会場にベッドを並べて、8時間の生演奏が行われます。オーケストラが演奏している中、それを聴きながら寝る。これを日本でも絶対にやりたいというのが、事業の立ち上げ当初から考えていたことで、個人的な想いでした」(尾形氏)
とはいえ、当時は音楽のコンテンツもないし、ただマックス・リヒターを日本に呼んで『SLEEP』を開催しても面白くない。そこで、尾形氏は自身の想いを具現化する機会をずっと伺っていたが、《sasayaki lullaby》とのコラボレーションを進めていく中で、「これならいけるのではないか」と考え、少しずつ計画を進めとのことだ。