パナソニックコネクトは2月22日、同社が2023年4月より導入するジョブ型人材マネジメントに関する説明会を行った。

パナソニックグループ全体で採用していたメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に切り替える。この仕組みは部分的にではなく、組合員含む国内の1万218人の全社員を対象に一斉導入する予定で、職務の内容を詳しく記述した約1400個のジョブディスクリプション(JD)はすでに公開済みだ。

  • パナソニックコネクトは2023年4月よりジョブ型雇用を導入する 資料:パナソニック コネクト

    パナソニックコネクトは2023年4月よりジョブ型雇用を導入する 資料:パナソニック コネクト

また、年齢や勤続年数に関係なく、職種によって報酬を決定する。これまで、報酬カテゴリは全職種共通だったが、新制度では市場における職種ごとの報酬の違いを反映し、職種に応じて3つの報酬カテゴリに区分する。

説明会に登壇した執行役員 常務CHRO(最高人事責任者)の新家伸浩氏は、「年功序列に基づくメンバーシップ型では若手優秀者の抜擢や、専門性の高いスペシャリストの確保に限界があった。ジョブ型雇用を採用することで、自律的に挑戦し成長する社員を生み出していく」と、狙いを語った。

  • パナソニック コネクト 執行役員 常務CHRO(最高人事責任者) 新家伸浩氏

    パナソニック コネクト 執行役員 常務CHRO(最高人事責任者) 新家伸浩氏

事業戦略に基づいた約1400のJDにより個人の貢献価値を明確化することで、幅広いキャリア機会の提示や、一人ひとりのキャリアの成功に向けた自発的学習の支援、手上げ制による登用を通じた主体的なキャリア構築の実現などを後押しする。

評価制度もがらりと変える。従来の評価記号と一律支給テーブル方式を廃止し、上司が報酬を決めるようにする。高頻度な1on1ミーティングを実施するなど対話を重視し、日頃からキャリア実現に向けた取り組みをすり合わせる。そして従業員の成果を踏まえ、組織責任者が個人の昇給率賞与額を決定する。

加えて、ラーニングカルチャーも醸成していく。「自らキャリアを描き、自ら学習し目指すキャリアへ挑戦する本人主体の『ラーニングカルチャー』への変革を目指す」と、新家氏は説明した。具体的には、同社独自のラーニング機関として「CONNECTers Academy」を新設。目指すキャリアプランに向けて自発的に学習できるような環境を提供するとのこと。「単なる研修機関ではない」(新家氏)

また、同社は働き方改革に関する取り組みも加速させる。これまではリモートワークや在宅勤務、男性育休取得100%推進など、さまざまな取り組みを進めてきたが、2023年4月からは、生産性高い働き方へ挑戦できる環境を整える。

  • 働き方改革も加速させる 資料:パナソニック コネクト

    働き方改革も加速させる 資料:パナソニック コネクト

具体的には、これまで通り働く場所を問わない制度「Work Anywhere」に加えて、一定の条件のもと居住地も問わない「Living Anywhere」も導入。さらに、勤務日数を自分で選択できる「週N日勤務」、取得時期が決まっていた夏季休暇をいつでも取れるようにする「コネクトオールシーズン休暇」や、届け出だけで副業が可能になる「フクギョー!!」などを導入する。これまで副業をするためには事前に人事部門などから許可をとる必要があったが、届け出すれば副業が原則可能になる。ただ、パナソニックコネクトの競合企業での副業は禁止。

「自律的に挑戦し成長する社員が企業価値を持続的に向上させ、個人と会社双方の成長サイクルを生み出すような人材戦略をとっていく」と、新家氏は語った。