NECと筑波大学は2月10日、浮腫(むくみ)の度合いを、AIを活用して顔映像から推定する技術を開発したと発表した。両者は今後も連携し、技術向上のためにデータ集積を図るとともに、医療介護・ヘルスケア分野での具体的応用を探索する。また、NECでは2024年度の実用化を目指す。
同技術により、スマートフォンやタブレット端末のカメラで撮影した顔映像で浮腫の有無や、浮腫の度合いを推定することができる。そのため、場所や環境の制限をうけずにデータを取得して、食事や排泄による浮腫度合いの経時変化の分析なども可能だ。
NECと筑波大学は同技術を用いて、透析患者の顔映像から浮腫の度合いを推定する検証を行った結果、同技術が従来の体重測定による計測を代替できる精度であることを確認した。
浮腫による顔の変化はごく僅かであり、患者ごとに違いが表れる部分が異なるため、AIを利用する場合は患者ごとに浮腫による顔の変化を学習し推定モデルを構築する必要がある。
同技術では複数の患者の顔映像を用いて、顔に表出する浮腫の情報を抽出するAIモデルを事前に学習する。この事前学習したAIモデルをベースにすることで、利用する患者のデータが少量でも、その患者の浮腫に合わせたAIモデルを転移学習し、推定精度を高めることができたという。
浮腫は、疾患や体調の変化などにより皮膚組織に水分がたまる症状で、腎疾患や心疾患、肝疾患などさまざまな原因で生じる。