freeeは1月25日、会計・人事労務・業務効率化などのバックオフィスをテーマにしたイベント「バックオフィスの日2023」を東京国際フォーラムにて開催した。

  • 「バックオフィスの日2023」(東京国際フォーラム)

    「バックオフィスの日2023」(東京国際フォーラム)

オープニングセッションにはfreee CEOの佐々木大輔氏、CPOの東後澄人氏が登壇。「THE ジーニアス・バックオフィス!〜経営のNewスタンダード 統合体験の全貌を知る〜」というタイトルで、同社が重要視する「統合体験」について説明していた。併せてfreeeの各プロダクトにおける新機能についての説明も行っていた。

佐々木氏は冒頭、「生活の中で『データがつながっている』と感じる場面は増えてきた。たとえば、家電や車はスマートフォンとつながることで遠隔で操作できるし、地図アプリは目的地までの経路を検索案内だけでなくそのまま飲食店の予約ができる。一方で、バックオフィス業務はまだまだデータの連携が足りていない。いまだに紙で請求書のやり取りを行ったり、Excelによる手打ちで従業員の勤怠や給与を管理したりしている企業は少なくないだろう」と、バックオフィス業務の現状を俯瞰した。

  • freee CEO 佐々木大輔氏

    freee CEO 佐々木大輔氏

freeeが提唱する統合体験とは、業務とデータがシームレスにつながり、「○○するだけで、××できる」といった体験だ。では、freeeはこの統合体験をどう実現しているのだろうか。

「freeeのプロダクトでは、あるゆる情報が1つの取引にひもづいているため、freeeを従業員全員が使うことで、経理業務や労務管理は自動化される。取引先情報は共通で二重で入力する手間はない」と、東後氏は説明した。

  • freee CPO 東後澄人氏

    freee CPO 東後澄人氏

例えば「freee会計」では、営業が請求書を発行すると自動的に売掛け金が登録される。それに対する入金があると自動的に明細が取込され、そしてまたそれが消し込まれていく。freeeのコーポレートクレジットカードである「freeeカード」で決済した経費は自動的にリアルタイムに同期され、それで経費精算ができる。「業務をするだけで自動的に裏側で会計処理が行われる」(東後氏)ということだ。

「一元的に同じ取引先マスターとして管理することで、例えばfreee会計上で取引先を新しく登録した時に、同様の情報をフfreee販売、そしてfreee請求書でも確認できる。こういったところが、freeeが統合型の経営プラットフォームとして実現していきたい価値だ」(東後氏)

  • freeeの各プロダクトは情報が相互に連携されている

    freeeの各プロダクトは情報が相互に連携されている

東後氏は続けて、プロダクトごとの最新情報を紹介した。

まずはfreee会計について。同社は1月20日、請求書の受取・仕訳・振込・保管を自動化するサービスなどを手掛けるsweeepの発行済株式の株式を追加取得し、完全子会社化(グループジョイン)すると発表した。これによりfreee会計は、請求書処理に特化したAI-OCRで大量の請求書の一括記帳に対応できるようになった。

「バックオフィス側で一括で大量の請求書を受け取り一気に業務を終わらせてしまいたいというようなニーズもある。さまざまなユースケースに対応できるようになった」(東後氏)

今後は、銀行振込機能もリリースする予定で、請求書の受取りからその後の振込までを一気通貫できる環境を作っていくとのことだ。

次にfreee販売。2022年11月にリリースされた同サービスは、クラウド型で提供されfreee会計と連携しており、2023年10月から始まるインボイス制度の適格請求書フォーマットにも対応している。同社によるとクラウド会計ソフトと一体型で使える販売管理サービスの提供は国内初だ。

そもそも販売管理とは、「何を・誰に・いつ・どこで・いくつ・いくらで」販売したのか、また請求や代金の回収は済んでいるのかなどを管理すること。freee販売には売上・原価を可視化するレポート機能があるため、従来の表計算ソフトで行う複雑な関数やグラフ作成が不要になる。事前調査で86.4%のユーザーが「使ってみたい」と答えた直感的なデザインを採用しているという。

今後は在庫管理機能や稟議/承認機能などを追加し、販売管理業務に順次対応していくとのことだ。

また給与計算ソフトのfreee人事労務は、年金事務所や健康保険組合向けにも電子申請が可能になった。紙の出力なしで月額変更届や賞与支払届の変更手続きがすべて完結するようになった。今後は、年内に電子申請が義務化されている書類はすべては対応する予定で、業務上のプロセスで必要な書類にも順次対応していく方針だ。

さらに、電子署名サービスである「freeeサイン」は、署名依頼のURLが発行できるようになった。「取引先と普段からコミュニケーションを取っているツール上で、契約書をはじめとした文書の署名依頼ができる」(東後氏)という。今後は、権限数を2権限から5権限へと拡充する予定。

東後氏は、「freeeは、単なる会計ソフトを作りたいわけではない。消費者として体感している統合体験というものを、スモールビジネスのあらゆる中小企業の方々にも体験してもらいたい。統合型の経営プラットフォームを会計ソフトの枠に閉じずに提供していきたい」と語った。