日本IBMは11月29日、オンラインで「IBM Cloud」に関する事業戦略説明会を開催した。説明会では、同日に発表されたハイブリッドクラウド支援サービス「OneCUVIC」のグローバル展開についても触れられた。

単純なクラウド化からハイブリッドクラウドの活用へ

昨今ではデジタルを中心とした技術による第4次産業革命により、高速ネットワークでヒトやモノが時間と空間を越えてつながり、生み出された大量のデータを分析して、新たな知見を生み出すAIが至るところに存在している。

日本IBM 執行役員 テクノロジー事業本部 クラウド・プラットフォーム担当の今野智宏氏は「個人的な所感としては仕事・企業の谷・枠を超えて連携することで新たな価値やサービスが生まれ、大量のデータとAIによる知見で社会の価値や人間の生活・行動様式が抜本的に変化している」との見解を示した。

  • 日本IBM 執行役員 テクノロジー事業本部 クラウド・プラットフォーム担当の今野智宏氏

    日本IBM 執行役員 テクノロジー事業本部 クラウド・プラットフォーム担当の今野智宏氏

こうした状況の中でDX(デジタルトランスフォーメーション)は“第2章”を迎えているという。第1章のDXはGAFA主導や一部の業務領域のイノベーション、デジタル・AI技術の実験、ユーザーアプリケーションにおけるクラウド利用、パブリッククラウドが主流となっていた。

しかし、第2章では企業がリードするイノベーションや業務の流れに組み込まれたデジタル・AI技術、基幹業務のクラウド利用、オープン、ハイブリッド/マルチクラウドとなり、ハイブリッドクラウドと共創の時代を迎えているとの見立てだ。

  • DXは第1章から第2章へ

    DXは第1章から第2章へ

今野氏は第2章で重要なものの1つとしてデータを挙げており、インターネットで検索できるデータは世の中の20%に過ぎず、残りの80%は企業や政府の中にあるため、これらのデータの活用法やワークロードをクラウドのみならず、マルチクラウド、オンプレミス、エッジなどのデータも含めてハイブリッドクラウド全体の中で1つの価値を作る必要があるという。

こうした状況をふまえ、同氏は「単純なクラウド化からハイブリッドクラウドを活用した変革に時代が突入する中で、ポイントになるのは『共創』『クラウドの新たな価値』『ミッションクリティカル』の3点だ。IBMのハイブリッドクラウドとAIの戦略は、マルチアプリケーション/ソフトウェア/インフラストラクチャ環境に加え、マルチクラウド、オンプレミス、エッジも含めた環境をトータルかつデータのポータビリティを支えるコンテナを核にハイブリッドクラウド全体として、顧客、業界そのものの変革を生むことを支援していくことだ」と説明した。

  • DX第2章に向けた3つのポイント

    DX第2章に向けた3つのポイント

  • IBMにおけるハイブリッドクラウドとAIの概要

    IBMにおけるハイブリッドクラウドとAIの概要