リコーは11月25日、デジタル社会における情報処理の脱炭素化推進を目指して、エッジデータセンター(エッジDC)向けのサーキュラー型蓄電システムの実証設備の稼働を開始することを発表した。

近年はデジタル技術の活用がさまざまな場面で進んでおり、利用者の近くで情報処理を実行する分散型のエッジDCが今後は普及拡大すると考えられる。それに伴い、エッジDCでの電力消費量の増大も予想されており、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギー(再エネ)のさらなる利活用が課題だ。

そこでリコーは再エネの日々の発電量の変動を吸収し安定的な電力供給を目的として、サーキュラー型の蓄電システムを構築し既設の太陽光発電設備と接続した実証を開始するとのことだ。実証実験では、エッジDCの電力消費を模擬した装置(電子負荷装置)へ発電した電力を供給する。

この蓄電システムはコスト面や資源活用の観点からも有効だとしており、電動化が進む車両の使用済みリチウムイオンバッテリーを再利用することで、車種ごとに異なる仕様や特性を持つ電池を混在して使える特徴を持つ。

  • リコーが目指す循環型ビジネスフロー

    リコーが目指す循環型のビジネスフロー

サーキュラー型蓄電システムは電動車両に搭載されたリチウムイオンバッテリーをリユースし、車種ごとに異なる仕様の電池を混在して使える蓄電システムとしている。今回開発した実証システムでは、EV(Electric Vehicle:電気自動車)とHEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド電気自動車)の2種類の電池を使用。リユースによる低コスト化を実現して再エネ活用に蓄電池を安価に導入できるようにし、再エネ活用の普及を目指すという。

また、システムを直流に統一したことでHEV電池の高出力特性とEV電池の大容量特性を生かした電力変換効率の向上を実現した。複数種類の電池をリユース対象としており、資源の有効活用による製造時の二酸化炭素排出量削減にも寄与するとのことだ。

  • 実証実験機外観

    実証実験機外観