NTTデータ東北は9月6日、東日本大震災で被災した市町村が保有する震災当時の対応記録をAIで自然言語処理を行い、Tableau(タブロー)による可視化を行ったと発表した。
同社は、大規模な災害が多発している中で、都度変化する状況を的確に捉えて災害対応にあたるには、過去の災害における被害の推移や対応状況など、複数の情報を時系列に分析する仕組みが有効であると考え、令和2年度から東日本大震災で被災した市町村が保有する対応記録をTableauで可視化し、次の応急対策を検討するための情報基盤を構築した。
Tableauによる可視化は、令和2年度には「避難者推移や支援物資の配備状況など“現場の状況”に関するデータの分析」、令和3年度は「応急対応に当たった方へのヒアリング結果を基にした発災直後の“行動”に関するデータの分析」をテーマに実施した。
「震災時状況分析」(令和2年度)として、地図上に避難所位置と避難者数の規模を円グラフで表現し、絞り込んだ地域で避難者数の推移、支援物資要望状況および支援物資配備状況を確認できるよう可視化した。これにより、日別ごとに避難者数の増減を把握し、各避難所の特性(避難所の規模、設置位置)における必要物資を分析することが可能となった。
「発言キーワード分析」(令和3年度)では、ヒアリング結果は会話形式で記録されており定量的な分析が困難のため、可視化の前にAIの自然言語処理で発言キーワードの分析を行い、より多く発言されたキーワードを大きく表示、順位付けすることで、ヒアリング回答者の共通的なキーワードとして把握できるよう整理した。また、選択した1つのキーワードから関連するキーワードを抽出し、結びつきが強いものや距離が近いキーワードを大きく表示するなど、2段階で関連するキーワードを確認できるように整理したという。
「震災時行動分析」(令和3年度)として、状況および行動の観点から、問題の発生割合や実行したオペレーションの割合を可視化し、どのオペレーションに問題が多かったのか視覚的に判断できるように整理した。
また、組織及び地区別に分析し、地区ごとに課題の差異を認識して今度起こりうる震災に向けた対策を地区ごとに検討できるように可視化した。