イベント分野の専門展示会「イベント総合EXPO」が6月29日~7月1日にかけて開催された。同展示会には、販促イベント、懇親会、式典、お祭り、スポーツイベントなどの企画、機材、会場、アトラクション機器が一堂に出展していた。
本稿では、同展示会に出展していた八芳園のオンラインイベントプラットフォーム「WE ROOM」を紹介しよう。八芳園と言えば、真っ先に結婚式場を思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、同社はテクノロジーを活用して、さまざまなソリューションを提供しているのだ。
Zoomでは実現できなかった機能を開発
新型コロナウイルスの感染拡大により、さまざまな事業が足踏みを余儀なくされたが、ウェディング事業を展開する八芳園もその一社だ。
緊急事態宣言を受け、同社も休業せざるを得なくなったのだが、「その間、これからの結婚式をオンラインで行っていくには何が必要かを考えました」と、DX推進部 ITソリューション マネージャーの小川雅弘氏は話す。
当初、Web会議ツール「Zoom」を使って、オンライン結婚式を行っていたが、「Zoom」はオンラインイベントに特化したツールではないので、結婚式としての臨場感を出すのは難しかったそうだ。
ここで、披露宴を思い浮かべていただきたい。一般的な披露宴は、ひな壇に新郎と新婦が座り、会場ではさまざまなグループに分かれたテーブルが置かれている。招待客は新郎と新婦を祝う一方、自分のテーブルや他のテーブルの人と交流も図っている。
こうした披露宴として当たり前の情景をZoomで実現するにはあまりにも手間がかかりすぎたという。そこで、小川氏のグループでは、八芳園としてのおもてなしができるオンラインイベントプラットフォーム「WE ROOM」を開発した。
新郎新婦を祝いつつ、仲間との交流も図れる
「WE ROOMでは、リアルの披露宴を再現できます」と話す小川氏。「WE ROOM」では、リアルに限りなく近い形で、オンラインで披露宴を配信するのだろうか。
下の画面を見ていただくとおわかりになると思うが、招待客の画面には、イベント主催側の新郎・新婦に加えて、同じグループの参加者が表示される。この画面では、ライブ配信を視聴しながら、同時に参加者同士で会話することもできる。
披露宴では、「新婦、きれいね」「この料理おいしいね」など、さまざまな会話が交わされるはずだが、「WE ROOM」ではそれを簡単に実現する。
また、披露宴では、新郎・新婦のご両親に挨拶をしたり、別のテーブルの知人・友人と話したりといったこともよく行われる。
そうしたニーズに応えるため、「WE ROOM」では、別なテーブルに自由に移動して、他のテーブルの人とコミュニケーションをとることができる。
さらに、小川氏はおススメの機能として、音量のボリュームをライブ配信とテーブルごとに分けて調節できる機能を紹介してくれた。ライブ配信を楽しむもよし、時には、友人とのコミュニケーションを楽しむのもよしというわけだ。
企業のオンラインイベントでもインタラクティブな体験を
当初、結婚式のためのオンラインイベントプラットフォームとして開発された「WE ROOM」だが、昨年11月に、ビジネス版が発表された。ご存じのように、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、私たちの働き方も変わってきている。
こうした中、企業でもオンラインで社内行事や教育を開催する機会が増えている。ZoomなどのWeb会議ツールを活用して、オンラインで社内行事を開催している企業も多いだろうが、参加者同士のコミュニケーションまでは実現できていないのではないだろうか。
また、オンラインで自由なコミュニケーションを実現するのが難しいことから、社員の交流が以前よりも減っているケースもあるだろう。「WE ROOM」を活用すれば、場所にとらわれることなく、部署や支店をまたがる形でオンラインイベントを開催して、社内の交流を深めることができる。
テレワークとオフィス勤務を併用するハイブリッドワークが当たり前になりつつある今、企業においては、いかにして、リアルとオンラインを一体化するかが求められている。「WE ROOM」はそうした企業のニーズに応える一手となるだろう。