IDC Japanは5月10日、国内ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス市場予測を発表した。同社によると、2021年の市場規模は前年比5.1%増の8856億円であり、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR)は3.9%、2026年の市場規模は1兆717億円になるという。

  • 国内BPOサービス市場予測 支出額予測 出典:IDC Japan

国内人事BPOサービス市場の2021年における前年比成長率は4.7%だった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が福利厚生領域のトランザクション型の売上やSMB(中堅中小企業)の新規顧客開拓に悪影響を及ぼし、市場は回復傾向にあるものの感染拡大前の成長水準にまでは戻っていないという。

2022年以降も当面この傾向が継続し、堅調な成長は確保するが感染拡大前と比べると低い成長率にとどまると同社は見ている。

国内カスタマーケアBPOサービス市場の2021年における前年比成長率は5.5%だった。COVID-19感染拡大に伴い、各種給付金やワクチン接種対応などのスポット案件の増加に加え、業務のオンライン化やeコマース、通販への取り組みの推進に伴うコールセンター強化などの動きも見られ、これらが市場の成長に寄与したという。

2022年以降スポット案件は徐々に縮小していくものの、全体では堅調な成長を維持すると同社は予測する。

国内財務/経理BPOサービス市場の2021年における前年比成長率は4.2%だった。COVID-19の感染拡大にも後押しされて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環としての高度なBPOサービスや、グローバルに統合した包括的なBPOサービスの需要が拡大しているとのこと。2022年以降もこの傾向は続き、他の領域に比べると成長率は低めだが、安定してプラス成長を維持するという。

国内調達/購買BPOサービス市場の2021年の前年比成長率は4.8%だった。間接材では、COVID-19 感染拡大の影響でオフィス商品の取引量が減少した一方で、感染対策商品の取引量は増えており、これがトランザクション型の売上を支えたという。一方、直接材ではDXの一環としてのBPOサービスの活用に取り組む企業が増加したとのことだ。

2022年以降もこの傾向が継続し、堅調な成長を維持すると同社は見る。COVID-19の感染拡大は国内BPOサービス市場に対して悪影響を与える一方、ポジティブな影響も及ぼしているという。

「BPOサービスベンダーは、COVID-19感染拡大の収束後を見据え、DX の一環としてのサービスおよび体制の拡充や、SMBをターゲットとしたBusiness Process as a Service(BPaaS)型のサービス整備に取り組むべきである。また、特にCOVID-19感染拡大の悪影響が大きい人事BPOサービスでのメニュー見直しも進めるべきである」と、同社ITサービスのシニアマーケットアナリストである吉井誠一郎氏は述べている。