日本電信電話(NTT)は3月4日、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の低遅延の特徴を活用することで離れた地点間でもタイムラグなく相互に映像のやり取りが可能となり、オーケストラの遠隔合奏のような映像コミュニケーションを実現する、複数映像の超低遅延分割表示処理技術を実証したことを発表した。

実証実験は、遠隔合奏における技術の効果を確認するため、同社の武蔵野・横須賀・厚木の3つの研究開発センター間(武蔵野は距離が離れた2拠点)の4拠点で実施した。各拠点で演奏する模様を撮影したHDMI映像は圧縮することなく伝送し、これらをストリーム型で分割表示処理した映像を再び各拠点に非圧縮で送って演奏者に表示する実験用ネットワークシステムを構築したとのことだ。これにより、映像遅延のストレスなく合奏できたとのことだ。

  • 相互に接続した遠隔セッションのイメージ

この実験構成の遅延特性を測定したところ、従来のインターネットを用いたWeb会議では分割表示処理を含めたEvent-to-Eye(被写体の状態が変化してから映像として表示するまで)の全体の遅延として数100ミリ秒程度かかっていたのに対して、同技術を適用したシステムでは20ミリ秒程度以下まで短縮できることを確認できたという。実証実験は、指揮者(武蔵野1)、第1ヴァイオリン(武蔵野2)、第2ヴァイオリン・ヴィオラ(横須賀)、チェロ・コントラバス(厚木)を各拠点に配置し、それぞれの拠点において、モニタで分割表示映像を見ながら遠隔で演奏した。

  • 実証実験のシステム構成イメージ

同社は次世代のコミュニケーション基盤として、IOWN構想を提唱している。同構想の特徴の一つとして、光技術を活用したネットワークで情報を圧縮することなく伝送する低遅延な技術の実現がある。同基盤では、従来のベストエフォート品質のネットワークとは異なり、遅延のゆらぎのない伝送が可能となるため、遅延の振る舞いを理解した上でネットワークシステムやユーザーエクスペリエンスを設計できるようになるとしている。

今回はこの特徴を活用して、複数拠点から届けられる複数の映像を超低遅延に分割表示処理する技術を実現したことになる。これにより、APN(All Photonics Network:光ベースのネットワーク)の低遅延な特徴を損なうことなく、分割表示処理も含めて、映像伝送の時間を短縮できることが確認された。

  • IOWN構想における超低遅延映像分割表示処理技術を用いた遠隔映像コミュニケーション