Visionalグループのビズリーチと国立高等専門学校機構(高専機構)は2月9日、オンラインで記者説明会を開催し、IT人材不足などの課題を解決するため、新たな社会をけん引する人材育成を目的に連携協定を締結したと発表した。

ビズリーチと高専機構がタッグを組み、IT人材を育成

今回の協定では、今後の教育現場において、ビジネスの第一線で活躍する民間企業のプロフェッショナル人材の「副業先生」(IT人材として企業で活躍しながら、国立高専の実務家教員として実践的な授業を担当する先生)としての採用を促進するため、同社が高専機構に対し、人材公募サービスの無償提供などを実施。

具体的には、ビズリーチ上での公募の無償提供(年3回程度)、採用活動をより効果的に行うための情報提供および企画提案、業務用ツールの一部無償提供などを行い、高専機構の教育・研究の場に必要な最先端の技術や知識を持つ民間人材の採用を促進する。

  • 連携協定の概要

    連携協定の概要

現在、国立高専は全国51校、学生総数は5万人、教員総数は3500人、卒業生総数は48万人にのぼり、タイやモンゴル、ベトナムなどに日本型高等専門学校制度「KOSEN」としても海外に展開されている。15歳からの5年間(専攻科含むと7年間)、一貫の技術者教育を行っている。

  • 高専の概要

    高専の概要

国立高等専門学校機構 理事長の谷口功氏は「Society5.0時代における高専の役割は、機械や材料、電気電子、情報、化学、建築など、従来の学びに最新のテクノロジーであるAIやIoTなどのデジタルを組み合わせ、チームで社会課題を解決できるイノベーション人材を育成することだ」と力を込める。

  • 国立高等専門学校機構 理事長の谷口功氏

    国立高等専門学校機構 理事長の谷口功氏

協定を通じて、両者は学生の学びの質の向上を図り、将来的に即戦力となるプロ人材の育成を目指す。谷口氏は「どのように人を育て、社会のさまざまな人の力を合わせていきたいと考えているため、ビズリーチとの協定を締結した」と話す。

  • 実務家教員に現役の副業人材を登用する

    実務家教員に現役の副業人材を登用する

昨年には高知高専でセキュリティの授業を実施

ビズリーチ 代表取締役社長の多田洋祐氏は「社会全体で早急なデジタル化が求められており、当社のプラットフォーム内でもDX関連求人は昨年比3.3倍になっている。しかし、急速なデジタル化に伴い、社会変革できる即戦力人材の不足は深刻だ。経済産業省の調査によると、2030年にIT人材は59万人不足すると予測されており、即戦力人材となる優秀なIT人材を継続的に輩出する必要がある」と指摘。

  • ビズリーチ 代表取締役社長の多田洋祐氏

    ビズリーチ 代表取締役社長の多田洋祐氏

そのため、経産省や文部科学省などの政府や民間企業では優秀なIT人材の輩出を全国の高専に期待しており、より高度で実務に近い教育を行うことが必要との認識を示している。

変化のスピードが速いデジタル社会では、最先端の知見をアップデートし続けるにはハードルが高いことから、昨年に高専機構はビズリーチの協力のもと、国立高専で唯一サイバーセキュリティ専門のコースを設置する高知工業高等専門学校(高知高専)で人材を公募。

高知高専では、昨年7月20日~8月16日の期間で公募した結果、43人が応募し、うち4人を採用。首都圏などに在住するITプロ人材が副業先生として着任し、昨年11月から授業を開始した。

  • まずは高知高専で副業先生が着任した

    まずは高知高専で副業先生が着任した

サイバー攻撃が高度化・巧妙化するセキュリティ領域は、特に具体的な事例や最新情報からの学びが求められる一方で、変化のスピードが速いデジタル社会においては、次々と最新技術や事例が更新され、既存の教員だけではタイムリーで実践的な教育の提供が難しいのが実情となっていた。

しかし、民間企業のITプロ人材を副業先生として招き入れたことで、タイムリーで実践的な教育の提供を実現できたという。

副業先生の授業を受けている「情報セキュリティコース」の学生からは「より実践的なテクニックを教えていただけた」「将来の仕事を意識して学ぶことができた」などの前向きな声が上がり、高知高専では学生の学びの質の向上が実現されている。

多田氏は「今回の連携協定で各校で副業先生が価値があるものなのか、ということを検証し、社会実装に向けてトライしていきたい」と述べていた。

2022年3月末には、一関工業高等専門学校(一関高専)で第2回となる公募を実施することが決定しており、セキュリティやAI、社会実装の領域で活躍できる副業先生を募集する。今後、高専から、より実践的なスキルを身に付けた次世代IT人材が輩出されていくことが期待されるという。

一関高専の公募ページは3月29日にビズリーチ上に開設し、サイバーセキュリティ実務家教員、AI・機械学習実務家教員、社会実装PM実務家教員の3つのポジションを募集し、4月中の選考、7月以降に順次着任を予定している。必須条件は、民間企業に勤務している人材で現職で担当科目の分野に業務として携わっていること。

将来的には、さらに副業先生の導入を進め、3年後には全教員の1~2割を実務家教員とすることを目指し、両者が協力して「副業先生導入モデル」の検証と構築を行い、他の国立高専へ展開していく方針だ。

なお、高専機構が人材サービスを提供する企業と連携協定を締結するのは初だという。協定は同社のSDGsプログラムである「みらい投資プロジェクト」の第1弾となる取り組みとなり、同協定を通じて未来のプロ人材の育成や、未来のプロ人材が活躍する場の創造を目指す。

  • みらい投資プロジェクトの概要

    みらい投資プロジェクトの概要