日立製作所は2月1日、「生体認証に関する意識調査」の結果を発表した。これによると、生体認証の利用に不安を感じていない人の約半数は生体認証のリスクを理解していないことや、生体認証を利用する上で最も求められることは安全性であることが浮かび上がったという。
同調査は同社が2021年12月24日から27日にかけて、全国の10代から70代の男女計1500人を対象にインターネットにより実施したもの。
普段実施しているセキュリティ対策として回答者の25.5%が生体認証を利用しており、世代別に見ると10代では48.8%、20代では34.9%と、若い層の利用が特に多い。
生体認証の利用者のうち73%がスマートフォンロックをきっかけに利用し始めており、非利用者が今後利用したいシーンにおいてもスマートフォンロックが最多だった。
生体認証の利用有無に関わらず、今後利用したいシーンでは「ネット上でのカード利用・その他決済時」が上位となった。
Webサイトや実店舗での本人確認で困った経験がある回答者は57.3%に上り、その内容ではログイン情報を正しく覚えれられないことが上位を占める。
その経験を生体認証で解消できるなら利用したいか尋ねると、65.3%が利用意向を示した。
生体認証を利用する上で安全性への不安を感じたことがある人は「生体情報を悪用される不安」「プライバシー問題に発展する不安」「生体情報の誤認証により本人が認証されない不安」などを挙げる一方で、不安を感じたことがない人が73.3%を占めた。
そのうち約2人に1人が、生体認証のリスクについて「理解していたものはない」と回答している。
生体認証に求めることでは82.7%が「安全性」と回答し、最も求めることでは、「安全性」「認証精度」「認証スピード」「設定・利用のしやすさ」などの中で、1位は安全性、2位は認証精度だった。
今回の調査結果に関して同社は、生体認証は生活者の意識においても不可欠な認証技術になりつつある一方で、そのリスクを正しく理解しないまま不安を感じずに利用している人が多数いることも判明し、生体情報の安全な管理という生体認証の課題を解消する手段が、さらなる利用普及において重要だと認識したとしている。