日鉄ソリューションズ(NSSOL)は1月5日、小売電気事業者向けに電力取引・リスク管理(ETRM:Energy Trading and Risk Management)サービス「Enepharos(エネファロス)」を2022年5月にリリースし、サブスクリプションモデルで提供する。
同サービスでは、電力需要予測値を基準に電力の調達量を判断するためのポジション管理機能やさまざまな将来シナリオから期間損失を推定するEaR(Earning at Risk)手法を取り入れたリスク管理機能を提供する。
電力のリスク管理支援を行うアストマックスの協力を得て、小売電気事業者の実際のニーズを取り入れて同サービスを開発し、NSSOLによる金融工学を駆使した市場・信用リスク管理やコモディティ取引管理、データ分析のノウハウも応用されている。
サービス販売開始後もリスク管理手法の高度化や管理可能取引の追加、電力に係るデータフィードサービスなど新機能の拡充を進める予定だ。
2016年の電力小売全面自由化により、消費者はライフスタイルや価値観に合わせて電気事業者やサービスを自由に選べるようになり、各社の電力小売事業参入が進み、現在国内には700以上の電力小売事業者が登録されている。これらの事業者は、季節や天候などにより電力需要量が変動する中で必要な電力供給量を調達するが、時には突発的な需要量の増加に伴い電力市場の価格が乱高下することがあるため、定量的なリスク管理が必要になる。
しかし、定量的なリスク管理には高度な数理的知見、大量の契約データなどの管理、運用人材リソースの確保などが必要となる。他方で、ETRMシステムの開発や導入には数千万から数億円におよぶ投資や1年以上の準備期間がかかることは珍しくないため、システム導入障壁の高さに苦心し、リスク管理のIT化に課題感を持つ企業は多い。