全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計したところ、IT・ソフトウエア業界の2021年10月のM&A発表件数は16件で、10月としては2012年以降の10年間では、2014年(12件)を上回り最多となった。取引金額は1455億円で、こちらは10月としては2012年以降の10年間では、2020年(2420億円)、2013年(2391億円)に次ぐ3番目となった。1000億円を超える案件があったため上位に食い込んだ。日銀による超金融緩和やIT人材の不足などを背景に、ITソフトウエア業界のM&A市場は活況が続いている。

取引金額は181億円で、9月としては2012年以降の10年間で2014年(1093億円)、2015年(456億円)に次ぐ3番目となった。100億円を超える大型案件が取引額全体を押し上げた。

  • IT・ソフトウエア業界 M&Aの推移(10月)

取引金額のトップはソニーグループの1100億円

取引金額のトップは、ソニーグループが米国子会社のソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(カリフォルニア州)の子会社であるGame Show Network, LLC(同)のゲーム部門「GSN Games」を、モバイルゲームを手がける米Scopely, Inc.(スコープリー、同)に売却する案件。

譲渡価格は約1100億円で、今後運転資金やその他の調整を経て正式に決める。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは、半分を現金で、残り半分をスコープリーの優先株で受け取る。

金額の2番目は、電通グループがネット広告大手のセプテーニ・ホールディングスが実施する第三者割当増資を引き受け、子会社化する案件。総額約326億円を投じて現在20.98%の持ち株比率を52.01%に引き上げる。

セプテーニは電通グループへの傘下入りに伴い、電通グループの子会社でダイレクトマーケティング事業の電通ダイレクト(東京都港区)を2022年1月4日付で子会社化する予定。

金額の3番目は、システムリサーチがソフトウエア開発のゼネラルソフトウェア(東京都千代田区)の全株式を取得し子会社化する案件で、取得価格は約11億9800万円。システムリサーチは東海圏を地盤としており、ゼネラルソフトウェアの子会社化で関東圏と関西圏での取引拡大などを目指す。

このほかに10億円未満が5件、金額非公表が8件あった。