三井化学と日本IBMは7月8日、化学物質を扱う作業現場のヒヤリハットや事故を防止する「労働災害危険源抽出AI」を構築し、2021年4月より三井化学の大阪工場で稼働を開始したと発表した。

「労働災害危険源抽出AI」は、過去の労災情報やヒヤリハット情報などをデータベース化し、AIを活用して検索できる。自然言語を含む大規模データを多角的に分析する「IBM Watson Explore」やIBM Cloud上で稼働する検索効率化に向けたテキストデータ分類が可能な「IBM Watson Natural Language Classifier」を搭載したSaaSシステムだ。

  • 「労働災害危険源抽出AI」活用イメージ

これまで紙ベースで蓄積された過去の労働災害情報やヒヤリハット情報、トラブル報告書をデータベース化し、社員の安全活動レベルを向上させることを目指して、日本IBMのデータサイエンティストやコンサルタントにより構築された。

三井化学の社員は、工場内に設置されたパソコン端末に、これから行う「作業の場所」や「作業内容」、火傷や転倒といった「労働災害の種類」などのキーワードを入力することで、過去のデータベースからリスク相関性の高い事例の照会、類似事例を抽出できる。同システムを活用し、属人性の解消、スキルやノウハウの伝承、原因究明の早期化などにつなげる方針だ。