米IBMは8月20日(現地時間)、量子コンピュータの性能がボリューム64を達成したと発表した。同社では、新しいソフトウェアとハードウェア技術を組み合わせて全体的なパフォーマンスを改善し、クライアントに提供中の最新の27量子ビットのシステムのうちの1台をアップグレードして、量子ボリューム64を達成している。
量子コンピューターの有用性(Quantum Advantage)とは、ある特定の情報処理タスクに対し、古典的なコンピューターよりも量子コンピューターが効率性も費用対効果も高く実行できるようになる段階に到達することだという。
そのためには、量子アプリケーションの基本構成単位である量子回路を改良する必要があり、量子ボリュームは回路の長さや複雑さなどの性能指標を表し、量子ボリュームの値が高いほど、産業、政治、研究などにわたる現実世界の問題の解決策を探求できる可能性が高いとしている。
今回の量子ボリューム64を達成するにあたり、同社ではハードウェアの知識に基づいて量子ボリュームの回路を最適に動かすための新しい手法や改善に焦点を当てている。ハードウェアアウェアの手法でIBM Quantumシステムの実機上で実行される、ユーザーのあらゆる実験やアプリケーションのパフォーマンスが向上するという。
これらの手法による性能向上は、近日中にリリースを予定しているIBM Cloudのソフトウェア・サービスと、クロスプラットフォームオープンソースソフトウェア開発キット(SDK)Qiskitで利用することができるという。