凸版印刷は8月4日、スマートロック事業をはじめとしたIoTサービスを提供するフォトシンスが実施した第三者割当増資により、発行する株式を引き受けたと発表した。なお、両社は2020年1月に資本業務提携を締結している。提携により、凸版印刷の持つセキュア領域の技術・ノウハウと、フォトシンスの持つ「Akerun入退室管理システム」など、法人向けクラウド型IoTサービスの技術を連携させ、キーレス社会の実現に向けたスマートロックやIoTサービスの用途拡大と、新たなサービスの開発を目指す。

2017年5月施行の個人情報保護法の改正により、個人情報を取り扱う事業所の入退室管理が義務化されたことや、働き方改革による正確な労働時間の把握など、セキュリティ、労務管理市場は拡大傾向にあることに加え、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、従業員の出社状況を管理・把握するニーズが高まっているという。

Akerun入退室管理システムは、既存のドアに後付けで導入できる法人向けクラウド型入退室管理システム。ドアに後付けで取り付けることでスマートフォンアプリやICカードを使用して施錠・解錠でき、管理者はクラウド上でID管理・入退室履歴管理ができる。

具体的には事業展開については、同システムの販売連携と新たなサービス領域への拡大、同システムにおける技術連携、キーレス社会に向けた共同実証と新たなサービス開発に取り組む。販売連携と新たなサービス領域への拡大については、今後さらに高まっていくスマートロック導入ニーズに対応するため、同システムを共同で拡販し企業のオフィスに限らず幅広い業種への展開を目指す。

技術連携に関しては、凸版印刷のIDカード発行や決済をはじめとしたセキュア事業で培った技術ノウハウと同システムを組み合わせ、利便性向上とセキュリティ強化を進め、サービスのアップデートを進めていく。

共同実証と新たなサービス開発では凸版印刷の個人情報を利用者が一括管理できるサービス「MyAnchor」をはじめ、セキュリティ性の高い個人情報管理ノウハウと、フォトシンスのソリューションを連携させることで、1つのIDでさまざまなサービスや場所を利用できるキーレス社会の実現に向けた新サービスの開発を目指す。まずは、2020年度内にMyAnchorと同システムを連携させる共同実証を実施し、2021年度内の共同ソリューションの開発を目指す考えだ。

協業により、凸版印刷のもつセキュア事業で培った個人認証、カード発行、決済などの幅広い技術・ノウハウと、フォトシンスのプロダクト・サービスが融合することで、企業オフィス以外への用途拡大や高度なセキュリティによる入退室管理など、働き方改革と企業のデジタルトランスフォーメーションを支援していく。