NECは6月30日、国税庁から年末調整に係る控除申告書作成を電子的に実現するための「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」を受託したと発表した。国税庁は、2020年10月から年末調整の対象者へ同ソフトウェアを無償で提供する予定だという。

  • これまでの年末調整控除申告書作成手続き

これまでの年末調整手続きは、従業員による各種控除証明書の入手から申告書の作成・提出や、勤務先による年末調整計算や従業員が記載した内容の確認、税務署や市区町村への年末調整結果の提出など、多くの作業を紙ベースで行う必要があった。

  • 令和2年10月以降の年末調整控除申告書作成手続き

こうした中、平成30年度税制改正により、令和2年分からの年末調整手続きを対象に、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等特別控除に係る控除証明書等について、従業員から勤務先へ年末調整申告書の電子データを提供して手続きすることが可能になった。

同ソフトウェアは、従業員が保険会社等から発行された控除証明書などの電子データを活用して申告書を簡単に作成し、勤務先に提出するデータを作成する機能を提供するという。

  • 年末調整控除申告書作成用ソフトウェア 画面イメージ

従業員のメリットは、控除証明書等のデータを本ソフトウェアに取り込むことで、控除額の計算等が不要となり、控除申告書を作成する作業を大幅に削減でき、簡単に手続きすることが可能になること。また、書面の控除証明書等を紛失した際に、再発行する手間を軽減することも可能としている。

従業員が同ソフトウェアで作成した年末調整申告書データを利用することで、勤務先の給与担当者は控除額の検算や扶養親族などの年齢計算、自社の給与システムへのデータ入力の手間が不要になる。

さらに、従業員が書類で提出していた添付書類の確認事務作業も削減でき、これまで7年間保管する義務があった控除申告書のためのスペースも不要になるなど、人的手間に加え、保管のためのコストも軽減することができるという。