コンカーは5月20日、オンラインで「ビジネスにおけるキャッシュレス化推進戦略」に加え、LINE Payとの新たな提携について記者説明会を開催し、コンカー 代表取締役社長の三村真宗氏などが出席した。
コンカーが示すビジネスキャッシュレス構想とは
冒頭、三村氏は経費精算におけるデジタル決済の利用状況に関するオンラインの調査結果を引き合いに出し「経費の支払いではキャッシュレスの移行が76%と利用意向が強く、現金からの脱却が進んでいる。また、経費を支払う際の決済手段としてはコーポレートカード、交通系ICカード、QRコードの普及が進んでいる一方、現金や個人クレジットカードの利用率は低下している」と、国内においてキャッシュレス化が進む現状について述べた。
その上で、同氏は「しかし、経費精算はアナログ業務のままで、半数近くが紙・エクセルであり、77%が請求書や証憑など紙の書類がデジタル化できておらず、経理部門のテレワーク化を阻害している要因にもなっている」と指摘。
このような状況を踏まえ、同社ではビジネスキャッシュレス構想を掲げている。三村氏によると、アナログの経費精算では手入力、領収書のノリ貼りなど「無駄な時間」、ザル承認、労働集約的な確認作業をはじめとした「無駄な管理」、経費精算のためだけに出社といった「無駄な出社」の3つの無駄により、生産性と働き方改革を阻害しているという。そこで、同社は経費精算をなくすものとして、ステップ1が「ビジネスキャッシュレス」、ステップ2が「承認レス」、ステップ3が「AI不正検知」と3つのステップを示している。
同社が掲げるビジネスキャッシュレスは、税制整備とデジタル決済の2本柱としており、税制整備では2020年10月1日に施行される「令和2年度 電子帳簿保存法改正」について説明された。また、デジタル決済ではSuica、nimoca、J- Coin Pay、PayPayとの連携は発表されているが、今回はモバイルアプリの「Concur Tap to Expense」の提供に加え、LINE Payとの連携について発表した。
令和2年度 電子帳簿保存法改正では、キャッシュレス決済によるデジタル明細が紙による領収書を代替することが認められ、従来からの画像に加え、領収書もデータで可能になる。コンカー 戦略事業推進室 室長の船越洋明氏は「コーポレートカード、交通系ICカード、QRコードを利用したキャッシュレス決済時に受領する利用明細データ(デジタル明細)があれば紙の領収書が不要になる」と説く。
そして、5月時点で想定されている「キャッシュレス決済=ペーパレス」に関する要件として、(1)キャッシュレス決済事業者からデジタル明細(日付・金額・支払先)が連携されていること(明細画面のスクリーンショットだけでは不可)、(2)連携されたデジタル明細が編集不可(もしくは編集履歴が残る)であること、(3)必要に応じて補足情報を入力・添付できること、の3点を挙げている。
従来からの紙の領収書では支払い→領収書受領→署名・撮影→タイムスタンプ→経費精算という流れだったが、デジタル明細では支払い→デジタル明細受領→経費精算とフローの短縮が図れるという。
LINE Payとの連携
デジタル決済に関して、Concur Tap to Expenseはこれまで交通系ICカードからのデータ読み取りには据置型ICカードリーダーが必要だったが、iOS 13以降を搭載したiPhoneで起動し、カードをかざすだけで利用日・金額・乗降駅などのデータを読み取り、Concur Expense上での経費精算レポートの作成をサポート。
これにより、据置型ICカードリーダー端末を購入・設置することなく、いつでもどこでもカードのデータを取り込んで電車代、バス代、タクシー代などの精算申請が完了できるようになり、「Concur Expense Professional」「Concur Expense Standard」と連携して使用することを可能としている。販売開始は秋頃を見込み、夏にはβ版での限定利用の開始を予定している。
LINE Payとの連携については、LINE Pay 代表取締役社長CEOの長福久弘氏が説明した。同社では企業から個人にLINE Payを介して送金・受け取りができるサービスとして「LINE Payかんたん送金サービス」を提供している。
今回のコンカーとの取り組みとして長福氏は「まずは6月からコンカーの経費管理クラウドを介してLINE Payユーザーへの経費精算代金の送金を可能とするほか、年内の対応に向けてLINE Payで支払った分の経費精算をコンカーの経費管理クラウドに送付することで、手入力を要さない効率的な経費精算の実現を検討している」と説明していた。