北海道情報大学は1月8日、「文部科学省私立大学研究ブランディング事業」として進めている教育活動において、食の保健機能研究の発展を支えるAI(人工知能)教育基盤を構築したと発表した。その一環として日本アイ・ビー・エム(日本IBM)と連携し、IBM Watsonを利用した地域・社会に貢献できるAI人材の育成に向けた教育プログラムを開発し、2020年度に新プログラムを用いた教育を開始するという。
最初の取り組みとして、AIによってロボットが地域住民向けに食を通じた健康アドバイスを行うシステム(リコメンドシステム)のプロトタイプを開発したとのこと。
このコンテンツを用いて、同大学の学生向けの教育プログラムとして、AIの機能や利用について、ロボットを開発しながら基礎から学習できる教育プログラムを開発しているという。
このプログラムでは準備した講座とガイドを利用し、受講した学生が自らの手で、IBMが開発したWatsonと連携するロボットである「TJBot」を、「食と健康」をテーマに開発できるとしている。
ブランディング事業の一環として開発した教育プログラムでは、特に健康や食に関する身近な領域から、学生が自ら興味を持つテーマを選択あるいは設定し、TJBotを使用して利用者と具体的な応答を行うロボットを開発する。
初級から上級まで3レベルでプログラムを用意し、初級では講師側で用意したアプリを利用してシナリオに従ってAIアプリを構築、中級ではシナリオは自ら構築、上級ではアプリ作成からシナリオまで全てを構築できるよう配慮したとのことだ。
教育プログラムにおいて開発するロボット及びシステムでは、AI機能としてまず、Watsonの音声認識サービスである「Speech to Text」を用いて、話しかけられた音声をテキスト化し、照会応答サービスである「Watson Assistant」及び、自然言語による文書検索サービスである「Watson Discovery」を導入することで、多様な会話応答を実現するという。 これらの仕組みは、IBM Cloud上で実装したとのこと。
システムが実現する会話応答のシナリオとして、例えば、利用者からの食材の機能性に関する質問に答える応答や、好みの食材を選択させることにより、その人の嗜好に合ったアドバイス提供などが実現するとしている。
現在は初級から中級の開発に取り組んでおり、初級のテーマとしては、高齢者の膝の痛みについてサンプルとなるシナリオを提供し、悩みの原因、効果ある栄養素・食材をテーマに食べ方、対象の食材、食材名についてアドバイスする会話ができるような仕組みを用意しているという。
今後は、教育プログラムをより高度で多様な内容に進化させていくと共に、高等教育機関として地域の抱える課題に具体的に貢献することを目指し、AI人材育成をどのように地域・社会への貢献につなげていくかなどの観点から地域行政(同大学の所在地である江別市)とも連携し、教育プログラムとしての「江別モデル」の取り組みを北海道内外へと展開していくとしている。