和歌山県有田川町と富士通マーケティングは、スマート図書館の実現に向けICタグを使用する「ウォークスルー型図書自動貸出システム」を構築し、1月7日に運用を開始した。

新システムは、利用者が利用者カードと図書を持って、施設に設置したICタグ読取ゲートを通過することで貸出手続を完了させるもの。この読取ゲートは、高い認識率を実現させるため実証実験を重ねオリジナルで制作したという。自動返却ポストとの組み合わせにより、利用者の利便性向上と図書施設運営の効率化を目指す。

  • 「ウォークスルー型図書自動貸出システム」

ICTの利用により、利便性が向上し利用者が増加する一方で、レファレンスサービスやイベント企画など図書館に求められる役割は高度化しつつあるとのこと。

また、社会的な労働人口の減少は図書館においても例外ではなく、職員確保はより困難になることが想定され、さらなる業務の省力化が課題だったとしている。

そこで同町では、図書館システムの更改に合わせてICタグや自動貸出の導入などを検討し、「スマート図書館化事業計画」を立案したという。

貸出手続について、利用者はバッグに利用者カードを入れたまま借りたい本を持って読取ゲートを通過することで、貸出手続きが完了し、登録したメールアドレスに通知が届く。 返却時は自動返却ポストを利用することで、貸出と返却手続のいずれでも貸出カウンターに立ち寄る必要が無いため、プライバシー保護にも効果があるとしている。

従来はカウンターで行っていた貸出と返却手続をセルフ化することで、職員の窓口業務を大きく削減するという。

図書施設のコンセプトに合わせたデザインに関して、読取ゲートの筐体外装とそのデザインは和歌山県の地元企業に依頼し、地域住民の交流の場としての雰囲気を損なわず施設コンセプトとの一体感にこだわり、洋書風のデザインを採用したとのこと。

オリジナルの読取ゲートに関しては、既存の自動貸出機は利用者自身で貸出操作が必要だが、機器操作に不慣れな人でも容易に貸出手続きができるように、操作や作業が不要となる読取ゲートを考案したという。