SAPジャパンは9月6日、デジタルガバメントの実現に向けたグローバル組織のシンクタンク「SAP Institute for Digital Government(略称:SIDG (シッジ))」における、日本拠点を新たに設立したと発表した
SIDGは、デジタル技術およびイノベーティブなアイデア・示唆を活用することにより、行政サービスに対する国民ニーズをかなえ、政府の価値を高めるために活動するシンクタンク。オーストラリアのキャンベラに事務局を置く。現在は欧州、アメリカでも活動し、韓国にも拠点を持つ。
日本では10名ほどが活動(兼任)し、SAP Leonardo Experience Center Tokyoを本拠地として活動するという。
活動するにあたっては、イノベーション組織を繋ぐオープンコミュニティ「Business Innovators Network」やスタートアップ向けプログラム「SAP.iO」などSAPがリードするエコシステムとの協働や、SAPグローバル組織との連携を行うことで、更に効果的な公共機関のデジタルイノベーションによる価値創出を図るとしている。
日本における活動の柱は、社会課題に対して、新規技術及びビジネス知見を活用し、解決策を見出す「Thought Leadership」、日本政府のデジタル化を推進し、公共機関のイノベーションを牽引する「Digital Transformation」、日本政府が諸外国政府の知見を参考・活用するためのハブとして機能する「Collaboration with Global」の3つ。
「Thought Leadership」では、オープンデータ利用の加速化、イノベーション人材教育(デザインシンキング、IT人材、官民交流)、官民共創によるビジネスイノベーション・社会課題解決、デジタルエコシステムを利用した価値創造、「Digital Transformation」では、先進技術を有効活用した政府情報システムの将来像(グランドデザイン)に向けたロードマップの具体化、行政におけるデータ管理の高度化・プラットフォーム強化、デジタルインフラの活用促進、行政で潜在化しているビッグデータ分析・予知分析を活用することによる実践的なEBPM(Evidence Based Policy Making)の実現、AI、IoT、マシンラーニングなどの先端技術を用いた行政サービスの利便性向上、デジタルガバメント向けデモを用いた体感型ワークショップ・将来像の発見を行う。
そして「Collaboration with Global」では、諸外国政府事例紹介(デジタル戦略、情報システムを利用したサービス改革等)、諸外国事例視察・情報交換、海外にあるAppHausやSIDGの見学、他国政府機関等との情報交換を行う。
SAPジャパン デジタル社会基盤事業統括本部 公共統括本部公共担当ディレクター SIDGリード 横山浩実氏は、「一番重要なのは『Thought Leadership』で、社会課題に対して解決策を見出すというのが一番大きな役割だ。また、『Digital Transformation』では、日本政府のデジタル化を推進するためにはイノベーションが重要だ。日本に合った形で推進していく。一方でガラパゴス化することは避けるべきで、そのためにグローバルと連携することも重要だ」と語った。
とくに重点的に、データ駆動型行政(明確な根拠に基づく施策遂行)、政府システムグランドデザイン(中長期的な視座を持った国民のとって価値ある行政サービスの実現)、「スマートシティ」に取り組むという。
SAPジャパン 代表取締役会長 内田士郎氏はSIDGの役割について、「省庁、地方自治体のデジタル化への要請は強くなっており、掛け声だけでなく、これに取り組んでいく時代にきている。官民共創によるデジタル技術を活用した社会課題の解決が急務になっている。われわれの強みはリアルタイムのビックデータとグローバル知見だ。われわれはPeople、Process、Placeという3つの『p』によってイノベーションを創出して実行していくことを考えている」と述べた。