ジェネラルセッションではまず、シスコシステムズ 代表執行役員社長 デイヴ・ウェスト氏が登場。

  • シスコシステムズ 代表執行役員社長 デイヴ・ウェスト氏

同氏は、「現在はすべてがデジタル化され、みんながつながっている。日本では、現在8億のデバイスが接続されているが、4年後には15億のデバイスが接続されるといわれている。新しい産業にとっては、ワクワクする時代だ。ただ、これは大きなチャンスであるとともに、リスクでもある。デバイスに対する攻撃の可能性も増えていくからだ。また、日本では、人口減少と高齢化という課題があり、そんな中でもデジタル化を進めていかなければならない、このギャップを埋めるのが、ロボット、AI、IoT、機械学習などの新しい技術だ。そういった新しい技術が競争力や生産性を高めていく。これらをやるためには、アナリティクスによって気づきを得る必要がある。行政の世界でも キャッシュレスやペーパーレスなどのSociety5.0という変革の波が訪れている。そんな中シスコでは、ハード、ソフト、サービスの面で存在感を高めていくが、デジタルビジネスへの変革、スマートシティ、エクスペリエンス、人材育成・スキル習得の4つの領域で支援していく。そのためには、統合されたマルチドメインアーキテクチャが必要だ」と、デジタル化にふさわしい新しいプラットフォームの必要性を訴えた。

これを受け、米シスコ ワールドワイドシステムエンジニア シニアバイスプレジデント マイケル・クーンズ氏が、シスコが進める新たなプラットフォームについて説明した。

  • 米シスコ ワールドワイドシステムエンジニア シニアバイスプレジデント マイケル・クーンズ氏

同氏は、「何がデジタル化を阻んでいるのかといえば、複雑性だ。それを解決するために、シスコはプラットフォームによるアプローチを行おうとしている。プラットフォームというのは、サービスをどこで利用したとしても同じ体験を提供できること、そして、オープン(オープンソースおよびオープンスタンダード)であること、さらに、広範囲で拡張可能であることであるだ」と語り、デジタル化に必要なプラットフォームの要件として、ユーザーエクスペリエンス、オープン、拡張性の3つをあげた。

  • 新しいプラットフォームに必要な要件

そして、シスコでは新しいプラットフォームで、自動化、分析/アシュアランス、プログラマビリティ、セキュリティ/コンプラアンスという4つのポイントで差別化を図っていくという。そのために、シスコは以下の5つを実現していくという。

1つ目は、マルチクラウドの世界を実現することで、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドのすべてに対応していくという。具体的には、安全にクラウドに接続し、ユーザーによって使えるアプリやトラフィックをコントロールし、コストも考慮して、最適な帯域でアクセスできるようにし、それらがすべて同じポリシーでコントロールできるようにしていくという。

  • マルチクラウドの世界を実現

2つ目は、IoTに向けたネットワークの刷新で、増大するデバイスを管理できようにするために、自動化と監査(自動的に許可/不許可)を進めていくという。それを具現化しているのが、同社が進めるインテントベースネットワークで、ユーザがネットワークに要求しているインテント(意思)を捉え、それを多様なデータセンターネットワーク全体にわたって自動化して適用していくというもの。

  • インテントベースネットワーク

これは、アプリからネットワークに対して一方通行で行うのではなく、新たに発生したデータをAIを使って分析し、ポリシーに反映させていくという双方向で行うという。これが4つ目のアプローチであるデータの活用だ。

  • ソフトウェア定義型プラットフォームの実現

これについて同氏は「ユーザーがデータを収集し、それを利用できるようにしていくのが最初のステップで、次のステップは、そのデータの意味を理解できるようにしていくことだ。それがあって初めてAIで分析できるが、これはニーズが異なるので個別対応が必要になる。そして、このときに重要なことは、オープンなインタフェース、APIが必要になることだ」と説明した。

なお、可視化の部分はすでにCisco Network Assurance Engineによって、ビューを提供している。

5つ目はユーザーエクペリエンスで、たとえば、会議室において、顔認証で本人確認を行って、それにしたがって会議相手に自動的に接続し、会議が終わって会議室を出ていくと、自動的にエアコンや照明をオフにする。こういったことを実現していくという。

5つ目はセキュリティで、場所や箱ものにこだわらず、すべての環境に組み込み、ポリシーをクラウド環境でも利用できるようし、セキュリティに必要なデバイスの数を削減し、必要に応じてポリシーを自動適用していくという。

そして、最後に同氏は、「デジタルトランスフォーメーションもコストも同時に満たす必要がある。われわれはネットワーク先の価値を提供していかなければならない、それができればすべてが成功する。ネットワークではなく、ビジネスの成果が大切だ」語り、講演を締めくくった。