Windows Server 2008のEOS(End of Support:サポート終了)が2020年の1月14日に迫る中、日商エレクトロニクスは「はじめてのAzure移行セミナー」と題したセミナーを東京本社で開催した。

このセミナーでは、Microsoft Azureの概要および、移行先としてMicrosoft Azureを選択した場合のメリットや移行手順などが紹介された。

SQL Server 2008および2008 R2の延長サポートは、2019年7月9日に終了、Windows Server 2008および2008 R2の延長サポートは、2020年1月14日に終了し、この日以降、マイクロソフトから定期的な更新プログラムの提供はなくなる。そのため、ユーザーは基本的にこの日までに、OSをアップグレードするなどの対策を実施する必要がある。

  • Windows EOS マップ

これに対し、マイクロソフトはAzureへの移行を推奨している。理由としてクラウドへの移行を促進するという意味もあるが、Azureに移行したユーザーに対しては、EOS以降も3年間は、無償でセキュリティ更新プログラムが提供されることも大きい。

マイクロソフトでは、ソフトウェア アシュアランス(SA)を契約するユーザーには、EOS以降も有償(最新OSのサポート料金の75%)でセキュリティ更新プログラムを提供するが、Azureに移行したユーザーは無償で利用できる特典がある。EOSを迎えたOSの延命は一時しのぎにはなるが、3年間の猶予を得られるのは大きい。

  • Azure仮想マシンに対して、EOS後もセキュリティ更新プログラムを3年間無償提供

この点ついて、日本マイクロソフト クラウド&ソリューション事業本部 インテリジェントクラウド統括本部 Azure インフラストラクチャ技術営業部 テクノロジー スペシャリスト 前島鷹賢氏は、「セキュリティパッチだけを提供する。最低限のサポートを行い、緩やかな移行をサポートする」説明した。

  • 日本マイクロソフト クラウド&ソリューション事業本部 インテリジェントクラウド統括本部 Azure インフラストラクチャ技術営業部 テクノロジー スペシャリスト 前島鷹賢氏

Azureの特徴

前島氏はAzureについて、「クラウドサービスのIaaSとPaaSを提供するが、代表的な使い方としては、閉域網やVPNを使用してオンプレミスを拡張利用するケース、オンプレミスの機能強化として、バックアップ、DR、ストレージの共有、ログ管理などの機能を利用するケース、IoT、動画の配信など、新規ビジネスで活用するケースの3つのシナリオがある」と解説。

  • AzureではIaaSとPaaSを提供

  • Azure利用の3つのシナリオ

同氏はIaaSとしてAzureを使う場合のメリットについて、世界に54拠点あり、グローバルで提供しているため、世界中どこでも均一サービスとして利用できる点を挙げた。そして、拠点間はインターネット回線ではなく、グローバルネットワークでつながっているのも特徴だと説明した。

  • Azureは世界54拠点で展開。国内には、東日本と西日本の2つのリージョンがある

また、Azureにはマーケットプレイスもあり、ISVから4000以上の構成済のリューションが提供されており、これらをクリックするだけで利用できるようになることもメリットだとした。

  • マーケットプレイス

さらに、さまざまなワークロードに対応するため、SAP、NetApp、vmwareのワークロードをカバーしており、40-50社がSAPをAzure上で利用。NetAppのONTAPもAzureのネイティブサービスとして提供されている。vmwareに関しては、Hrizon CloudサービスをDaaSで利用でき、NSX Cloud For Azureも提供されており、オンプレミスのポリシーをそのままAzure上に適用できるという。

  • SAP on Azure

  • VMware on Azure

加えて、VMware Virtualization ON Azureも準備中で、Hyper-Vではなく、近い将来、VMware環境のまま動作させることができるようになるという。

前島氏は、AzureとAWSなど他のパブリッククラウドとの違いは、ハイブリッド利用を意識している点だと指摘した。

「すでにオンプレミスでマイクロソフトの製品を利用されているので、クラウドで新たに構築してくださいというわけにはいかない。既存の資産とシームレスに連携できるように作られている」(前島氏)

そのほか、クラウドに対するもっとも大きな懸念であるセキュリティについては、公的な証明書の取得によるコンプライアンスの確保のほか、業種・業界に沿った制約に対する対応も進めているという。Azure Security Centerでは、Azureの仮想マシンやオンプレミスサーバのセキュリティログを収集し、マイクロソフトの知見や機械学習によって分析し、リスクをレポートする。

また前島氏は、バックアップなど運用に必要なツールも提供しているのもAzureのメリットで、Azure Migrateツールでは、オンプレミスのシステムをAzureに移行して問題がないのかや、Azureに移行した場合のコスト、サービスの依存関係などをの情報を収集・分析・可視化できるという。

  • Azure Migrateツール

Azureの利用料金

一番気になるAzureの利用料金だが、料金は従量制になっており、コンポーネントことに課金された金額の合計となる。コンピュート料金は、仮想マシンの料金で、CPUやメモリ容量に応じて分単位で課金。ストレージは、種類と容量によって課金、ネットワークは、オンプレミス、他のリージョンとのデータ転送容量によって課金されるという。

  • Azureは従量課金

なお料金には割引特典もあり、オンプレミスでのSA付のWindows Serverのライセンスを持ち込むことで最大40%の割引になるほか、長期契約(1年、3年)で先払いすることで、最大72%割引、そして両者を組み合わせることで、最大82%の割引になるという。

  • Azureの割引特典