イトーキは8月20日、作業時における空間の違いによる脳の活性度の差異に関する実証実験の結果を発表した。

同実験では、視覚および聴覚環境を調整した3つの空間(クローズ空間・セミクローズ空間・オープン空間)の空間で2種類の作業を実施し、それぞれの空間が与える効果を測定。

  • クローズな空間。着座時に頭部まで隠れる壁に四方を囲まれた狭い空間であり、雑音が聞こえない場所

  • セミクローズな空間。着座時に頭部まで隠れる壁に囲まれているが、ある程度の広さと窓があり周囲の音が聞こえる場所

  • オープンな空間。壁がなく、人の声をはじめ様々な周囲の音が聞こえる広い場所

「パフォーマンスが高い状態」を「脳の活性度が高い状態」と仮説を立て、脳血流の変化を測定した。調査は、古賀良彦(杏林大学名誉教授・医学博士)監修のもと、スペクトラテックの「spectratechOEG-SpO2」を使用し、前頭部16部位の脳血流量(酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb))の測定分析を行った。

実験の結果、視覚・聴覚環境の影響が大きなオープン空間で作業を行った場合、クローズおよびセミクローズ空間と比較し、脳血流の変化は少なく、オープン空間では、特徴的な脳血流量の変化が見られなかった。

複合的な判断が必要な作業(主に前頭葉を使う作業)を行った結果、クローズ空間で最も前頭葉の脳血流量が上昇した。つまり、ワーカーが複数の情報などから複合的な判断が必要な作業においては、クローズ空間で脳が活性化する結果となった。

単一作業(主に左脳を使う作業)では視覚・聴覚環境の影響がある程度無視できないセミクローズ空間で左脳の脳血流量が最も上昇し、ワーカーの単一作業では、セミクローズ空間で脳が活性化することがわかった。

同社では実験の結果、生産性の向上が求められている現代の職場環境では、すべての業務を自席で行うのではなく、空間に着目し、それらを仕事に応じて上手に使い分けることが大切であると考えられるとしている。