IDC Japanは6月25日、国内サーバ市場のシステムタイプ別予測を発表した。これによると、同市場は縮小均衡が見込まれるが、システムタイプ別や配備モデル別に見ると成長分野があるという。

同社は同市場におけるシステムタイプ別支出額の試算にあたり、「SoR(Systems of Record)」「SoE(Systems of Engagement)」「SoI(Systems of Insight)」「システム基盤プラットフォーム」「機器/装置制御システム」の5分野に分類。

2022年の国内サーバ市場は4020億6900万円、2017年から2022年までの5年間における年間平均成長率(CAGR)は-4.3%になると予測している。

システムタイプ別に見ると、SoRは1415億3200万円で、同期間におけるCAGRは-6.0%、SoE/SoIが440億7600万円でCAGRは-4.3%、システム基盤プラットフォームと機器/制御システムを合算したその他の分野(Other)が2164億6100万円でCAGRは-3.2%になるという。

システムタイプ別の予測をクラウド、またはトラディショナル(Non-Cloud)の配備モデル別に細分化して分析すると、プラス成長を望める分野が存在。

国内SoR向けサーバ市場の支出額を配備モデル別に見ると、2017年～2022年におけるCAGRはSoR on Cloud(クラウド)が2.0%、SoR on Traditional(トラディショナル)が-8.1%と予測。同市場における2022年のクラウドとトラディショナルの構成比は、クラウドが2017年比8.9ポイント増の26.8%に、トラディショナルは同8.9ポイント減の73.2%を見込む。つまり、ビジネスアプリケーションなどの用途が主体のSoR向けサーバにおいても、配備モデルがトラディショナルからクラウドへとシフトするという。

国内SoE/SoI向けサーバ市場支出額の配備モデル別に見たところ、2017年から2022年におけるCAGRは、SoE/SoI on Cloud(クラウド)が1.6%、SoE/SoI on Traditional(トラディショナル)が-7.9%になると推測。同市場における2022年のクラウドとトラディショナルの構成比は、クラウドが2017年比11.8ポイント増の45.6%、トラディショナルは同11.8ポイント減の54.4%になるという。

国内Otherシステムタイプ向けサーバ市場支出額の配備モデル別では、2017年から2022年におけるCAGRは、Other on Cloud(クラウド)が0.9%、Other on Traditional(トラディショナル)が-5.5%になると予測している。同市場における2022年のクラウドとトラディショナルの構成比は、クラウドが2017年比7.6ポイント増の40.4%に、トラディショナルは同7.6ポイント減少して59.6%と推測。

  • システムタイプと配備モデルから見た国内サーバ市場における成長分野

    システムタイプと配備モデルから見た国内サーバ市場における成長分野

CAGRがプラスである分野を成長分野だとすると、該当するのはSoR on Cloud、SoE/SoI on Cloud、およびOther on Cloudの3分野となる。しかし、成長分野と想定される3分野には異なる特性があり、サーバ関連ビジネスの成長戦略はそれぞれ異なるという。

例えば、SoE/SoI on Cloudでは新規需要の攻略が成長戦略になる。具体的な分野としては、企業規模の観点で裾野へと広がる余地があるCRMソリューションへの注力と、データに基づく洞察を得るためのコグニティブ/AI(人工知能)システム関連ソリューションの拡充およびデマンドクリエイションを挙げている。また、これらはサーバハードウェアの差別化による競争力の強化が可能な成長分野でもあるという。