KDDI総合研究所は5月21日、仮想化技術を用いた基地局のスライシング技術を開発し、サービスの要求に応じて最適なネットワークを構築する次世代技術の実証に、プロトタイプの装置を用いて世界で初めて成功したと発表した。これにより、次世代移動通信システム5G時代に期待されるIoT、超高速、超低遅延などの多様なサービス実現に向けて、サービスの迅速な導入やニーズに合わせた柔軟な運用が実現され、高品質で安定したネットワークの提供が可能になるという。
スライシング技術とは、サービスに応じて論理的にネットワークを分割することで、今回同社は、vBBU(virtualized Baseband Unit、BBUは基地局は無線制御装置のこと)が担う基地局機能をサービスに応じて柔軟に選定するだけでなく、vBBUを最適に配置する基地局スライシング技術を開発した。
vBBUの配置場所はアプリケーションに与える遅延量や収容端末数等のネットワーク性能と強く関係しており、その最適化により5G時代に想定される多様なサービスの要求品質にきめ細かく対応することが可能になるとされている。今回は、Cavium社と協力してオープンソースを用いたプロトタイプ装置を開発し、サービスの要求に応じて最適なネットワークを構築する次世代技術の実証に成功した。
実証では、IoTサービスとしてセンサデバイスの通信(スライス1)とブロードバンドサービスとしてビデオストリーミング送信(スライス2)の2種類を使ったデモを行い、スライス間で互いに干渉することなく動作可能であることを確認し、実現性を示したという。
今後、KDDI総合研究所は、今回開発したプロトタイプ装置を拡充し、サービスに応じて自動的に基地局機能の配置および選択を可能とする機能を追加して、実用化に向けた研究開発や標準化を進めていく。