Microsoftは、AIやクラウドの力を駆使してヘルスケアの領域での変革を目指す取り組み「Healthcare NExT」の一環としてMicrosoft GenomicsサービスをAzureで開始したことを公式ブログで発表、ISO認証を受けたサービスとして現在、米国、西欧、東南アジアのリージョンで提供されている。

公式ブログには、Microsoft Genomicsサービスの一般提供にいたるまでの経緯が記されている。小児がんの治療のために計算生物学者のチングイ チャン(Jinghui Zhang)教授とメンフィスの聖ジュード小児研究病院(St. Jude Children's Research Hospital)がはじめた取り組みは、膨大なゲノムデータをリポジトリにアップロードしていたが、これをグローバルな研究コミュニティとダウンロードで共有するのが非常に困難であると判断したことが、Microsoftのゲノム研究グループとの出会いであったとチャン教授は述べている。

チャン教授とDNAシーケンスデータマネージメントプラットフォームを提供する米DNAnexusとMicrosoftは、配列アラインメントや解析パイプラインなどの膨大な処理を通し、Azure上にCDROM75万枚相当0.5ペタバイトのデータは、データ共有プラットフォームの基盤となっている。Microsoft ゲノムグループのボブ デビッドソン(Bob Davidson)氏は、「良質なデータが必要なのは明らかです。そして、人々がきわめて容易に良質なデータを取得できるようにすれば、生物学の情報をクラウド上の分析ツールに提供して、あらゆる人の生産性を向上し、発見率を向上することが期待できます。」とMicrosoft Genomicsサービスが高精度医療の"ブレークスルー"における重要な構成要素になると指摘する。

例として、健康な組織とがん化した組織のゲノムデータを分析することで、診療医は他の患者への治療と結果のデータに基づいて最も効果的な治療法を選択できると説明している。