NECは2月23日、NTTドコモと共同で、次世代無線通信規格5Gの実現に向け、集約基地局(CU)が複数のリモート局(DU)を制御するC-RAN(Centralized-Radio Access Network)構成の超多素子AAS(Active Antenna System)基地局システムを使用し、DU間の協調制御を行う検証実験を、横須賀リサーチパーク(神奈川県横須賀市)やNEC玉川事業場(神奈川県川崎市)などで開始したことを発表した。

  • 実験で使用中の低SHF帯超多素子AAS

    実験で使用中の低SHF帯超多素子AAS

  • 検証実験の様子

    検証実験の様子

NECが開発した低SHF帯超多素子AAS基地局システムは、CUにより、異なるDUに接続している端末の情報を複数DU間で交換し、DU間で協調制御しながら指向性を持った信号(ビーム)を形成する。これにより、DUの通信可能範囲(セル)の境界付近に位置する端末のスループットを従来と比べて大幅に改善し、場所を問わず安定した高品質通信を実現することができるという。

今回の検証実験では、郊外や都心部など様々な実環境におけるDU間協調制御によるセル境界での品質改善効果を確認する。具体的な実験内容としては、屋外環境において、CUに接続された2台のDUの通信可能範囲の境界付近に位置する複数台の端末が各DUと通信している状態で、DU間の協調制御の有無による下り通信品質を測定する。

NEC玉川事業場での検証実験では、協調制御していない場合、他DU配下の端末のことを意識せずにビームを形成して下り送信を行うため、大きな干渉が発生し、通信品質が低下した。一方、協調制御している場合、DU間で協調しながらビームを形成するため、互いのDUからの電波干渉による通信品質の低下を防ぎ、下りスループットが最大50%程度向上し、場所を問わず安定した高品質通信が実現可能であることを確認したとしている。