ランドログと日本マイクロソフトは2月20日、建設現場におけるオープンIoTプラットフォーム「LANDLOG」にパブリッククラウドプラットフォームMicrosoft Azureを採用、建設生産プロセスに関する様々なデータを集積して現場の効率化、オペレーションの最適化を図ると発表。建設業界全体にデジタルトランスフォーメーションを推し進めていく。
日本マイクロソフトとIDCによる「アジアにおけるデジタルトランスフォーメーションの経済効果調査」についての記者会見のなかで、デジタルトランスフォーメーションを建設業界において推進している企業のひとつとしてピックアップされたランドログ。建機大手の小松製作所やNTTドコモ、SAPジャパン、そしてオプティムの4社が建設生産プロセス全体をつなぐ新たなプラットフォームの構築を目指しランドログは2017年10月に誕生した企業だ。
建設業界を取り巻く現況は、2025年には技能労働者の4割が離職し約130万人の需給ギャップを生じるほか、建設会社の90%以上が中小事業者という背景もあり、労働生産性の向上を図らねばならない状況が強まっていく。そういった業界が抱える課題に対し、ランドログのDNAに深く関わるコマツはハードウェアの面からメスを入れ、「情報化施工(ICT)建機」を開発、2013年より日本はもちろん北米や欧州、豪州にて市場に導入した。しかし、市場導入後にICT建機が力を振るう以前の施工工程でボトルネックが発生していることが判明したという。
そうした反省や改善を経て、コマツは建設生産プロセスの全体を3次元データで建設現場の見える化を促進させる「SMART CONSTRUCTION」や、ドローンによる空撮とエッジコンピューティングを用いて土の変化を3次元データ化して把握する「日々ドローン」等を導入してきた。「LANDLOG」は、計画、設計、施工、維持管理といった各種プロセスを横断的に、そしてコマツの建機以外、例えばダンプトラック等の“工事現場にある機材”をつなぐオープンなプラットフォームとして、エンドユーザーを中心としたエコシステムを構築するという。
「LANDLOG」には、前述のようにMicrosoft Azureが採用されているが、その決め手となったのは「Cosmos DB」の存在と「Cognitive Service」だという。高速且つスケーラブルなグローバル分散DBサービスのCosmos DBによって、一元的に蓄積・管理されたデータへ世界のどこからでもアクセスできるメリットにより、今後「LANDLOG」を世界の建設現場へ展開させていくほか、工事現場で撮影された画像を解析しML(機械学習)やさらなるAIを用いた機能の拡充を図っていく。それに加え、Microsoft AzureでIaaS/PaaS基盤を整えることで、ITインフラを持たない中小の建設会社にも導入しやすいカタチでのサービス提供が行え、建設業界におけるデジタルトランスフォーメーションをより身近なものへとするという。
ランドログと日本マイクロソフトは、建設現場特化型オープンIoTプラットフォーム「LANDLOG」上で提供される機能を、ユーザー企業が月額契約で利用することが可能になるクラウドサービスとして提供していく。ITの利活用というと、初期費用や人材面等で障壁が高いと感じる向きも多いかと思うが、この「LANDLOG」であればそういった障壁を気にすることなく、スモールスタートを切ることが可能となる。今後も、建設業界にデジタルトランスフォーメーションの流れを加速させていくであろうランドログの動向に注目していきたい。