100万契約でブレークイーブンの高い壁

9月末に発表会を開催したビッグローブの有泉健代表は、MVNO事業の現状について「肌感覚では(契約数が)3ケタいかないと今の料金体系では厳しい」とコメントする。

驚きなのは、2007年のMVNO事業を始めてから、ビッグローブ自身、一度もブレークイーブン(損益分岐点)に達したことがないことだ。ビッグローブも約40万契約(2017年3月末時点、MM総研調査)とプラスワン・マーケティングとほぼ同程度の規模で事業展開しているが、MVNO事業は儲かっていないのである。

同氏のコメントをMM総研調査に当てはめれば、継続的な事業として成り立つのは、NTTコミュニケーションズとインターネットイニシアティブくらいのもの。厳しい事業だとは言われてきたが、その他大勢はMVNO事業単独での継続に多かれ少なかれ不安材料を持っているというのが、実態に近い見方なのかもしれない。

MVNOビジネスを巡る現状として、まだまだ認知拡大と消費者とのタッチポイントの拡大が必要な時期にある。そのために、広告宣伝費や出店費用などコストをかけられるMVNOは力を伸ばしていけそうだ。ただし、それは大きな利益には結びつかず、我慢を強いられている状態にあることが予測される。対して、その他大勢との差はますます開いていくように見える。業界全体を通じて大我慢大会が続きそうな予感がするが、この先どうなるだろうか。