ESETは7月30日(米国時間)、「iOS VPN apps removed from Apple's Chinese App Store」において、Appleが中国政府からの要請を受けて、中国のApp Storeから仮想プライベートネットワーク(VPN; Virtual Private Network)機能を持ったアプリ「ExpressVPN」の提供を中止したと伝えた。

中国政府は仮想プライベートネットワークの機能が使われることを良しとしていない。今のところAndroidにおいて同様の規制は発生していないが、今後似たような動きを見せる可能性がある。

同記事は、「ExpressVPN」を提供しているベンダーであるExpressVPNの公式ブログに基づくもの。同社によると、Appleから、同社のアプリが中国の法規制に反するコンテンツを含むため、中国のApp Storeから削除すると連絡があったという。

AppleからExpressVPNに対する通知

VPNは信頼できないネットワークからインターネットに接続する必要がある場合に通信の安全を確保する技術として利用できるほか、任意の場所から任意のネットワークにログインして作業する方法の1つとして利用されている。特に通信に安全が確保しやすいことから広い場面で使用されている。

しかし、VPNは都合の悪い通信を秘匿するといった用途にも利用できる。そして、通信規制を実施している国や政府にとってはそうした規制を回避する技術として好ましく思われていない。今回のAppleの対応はそうした政府の意向を反映した処置と言える。今後、中国以外の地域や、iOS以外のアプリストアも同様の対応を取る可能性がある。