5月31日から6月2日まで、AWS(Amazon Web Service)が主催するAWS Summit Tokyo 2017が開催された。最新のクラウド導入事例やAWSクラウドの最新技術がセミナーなどで紹介された。
セミナー以外にも、AWS上でサービスを展開するベンダーやスポンサーによる展示会が開催されていた。AOSデータでは、新しいバックアップソリューションとなるAOSBOX Intelligentを発表している。
AI機能を搭載したAOSBOX Intelligent
AOSBOX Intelligentの紹介のまえに、AOSBOX Businessについて簡単に紹介しておこう。AOSBOX Businessは、社内のPC、ノートPC、Windowsサーバー、外付けハードディスク、ネットワークドライブなど、あらゆるデバイスのデータをクラウドにバックアップする。
バックアップ対象は、ビジネスデータだけでなく、ブックマーク、動画や画像、音楽データなども柔軟に設定できる。通常クラウドストレージ、コールドクラウドストレージ、ローカルストレージの3つを組み合わせる(トライブリッドバックアップ)ことで、低コスト、安全、高速なバックアップ環境を提供する。
これらの機能により、法人向けのバックアップとして評価を得ているAOSBOX Intelligentは、そのAOSBOX BusinessにAI機能が追加され、検索機能が格段に向上した(提供開始は2017年8月を予定)。
まずは、検索機能を紹介しよう。左側にあるメインメニューから[見つける]を選択する。図2のように、バックアップされたデータの一覧が表示される。
ここでは、比較的写真データが多く表示されている。図3は、異なる状態で一覧を表示したものである。
ここでは、動画や設定ファイルなどがあることがわかる。会社や組織によって異なるだろうが、実際のビジネスにおけるバックアップでは、フォルダやOfficeファイルが多くなるだろう。
次に、左のメニューから[A.I.タグ]ボタンをクリックする。画面の右側に、[A.I.タグ]ボックスが表示される。A.I.タグは、写真などをバックアップするたびに、AOSBOX IntelligentがAI機能で分析し、その中身のオブジェクトを把握し、タグを付け検索可能なコンテンツとする。[A.I.タグ]ボックスから「旅客機」を選ぶと、飛行機の写真だけが表示される。
従来、膨大な数の写真から希望する写真を探すといった場合、1枚1枚見ていくしかなかった。これが、瞬時に行えるようになる。
コールドストレージは安価であるが、バックアップに時間がかかる。そこでAOSBOX Intelligentでは、写真や動画のバックアップではサムネイルやメタデータを作成する。プレビューや検索には、これらを使うことで高速に検索が可能となっている。
PDFや画像データの文字情報も検索可能に
Officeデータの場合、WordやExcelのデータであることも多い。しかし、PDFや画像(JPEGなど)で、文書が保存されることもある。これまで、そのようなデータは、検索対象にはならなかった。しかし、AOSBOX Intelligentでは、
1. PDFや画像データをスキャンし、さらにドキュメント補正を行う
2. 最適化されたドキュメントをOCRで読み取り
3. テキスト変換
という作業を行うことで、PDFや画像も含めた全文検索が可能となった。図5は、「TRUMP」で検索を行い、該当する文書を表示したものである。
さらに、検索結果を表示したものが、図6となる。
「TRUMP」が含まれるすべての検索結果が表示される。ビジネスシーンでは、さまざまな文書を扱う。この機能は、従来、検索対象とならなかったデータも対象となる。仕事のやり方や方法も変えていくことが期待される。
セキュリティや管理も強力に使いやすく
ビジネスで使用するためには、セキュリティの高さも必須条件となる。AOSBOX Intelligentでは、強力な監査機能を持つ。
図7は、すべてのユーザーによって実行された操作ログを管理する監査レポートである。先ほど行った「TRUMP」の全文検索も見てとれる。メインの管理画面は、図8のようになる。
AOSBOX Intelligentの使用状況をグラフィカルに確認できる。ポリシー管理も、細かく設定可能である。
図10は、ユーザー管理画面である。
シンプルでわかりやすい画面構成になっている。AOSBOX Business以来、培われてきたノウハウが活かされているといった感じである。
バックアップデータがビッグデータに
「わが社にはビッグデータは存在しない」とはよく聞かれる。たしかに、"インターネット上のビッグデータ"の多くは、今回のAmazonやGoogle、Microsoftなどを筆頭に大手ITサービスを提供するベンダーと同じ規模でのビッグデータはなかなか存在しないだろう。それは当然のことだ。しかし、社内のすべてのPCやスマホのデータをクラウドにバックアップし、検索対象になればビッグデータ化するのだ。
AOSBOX Intelligentはバックアップソリューションであるが、ビッグデータ化で、ビジネススタイルを大きく変える可能性を秘めている。本稿では紹介できないが、ユーザー数やストレージ容量など、きめ細かく設定が可能と思われる。規模に応じて、最適なソリューションを選択可能だろう。繰り返すが、たんなるバックアップに留まらない、ビッグデータの活用が待っている。