最終的にパイオニアが作り上げた自転車機材は、「ペダリングモニターシステム」と呼ばれるものであり、力を計測するセンサー、計測値を表示するサイクルコンピューター、採取したデータを記録・分析するウェブサービスのシクロスフィアで構成されている。

パイオニアが開発したパワーメーター(左)。赤いおにぎり形状のものがセンサーの一部となっている。サイクルコンピュータ(右)

しかし、こうした開発環境がありながらも、製品化を迎えるまでには4年強の歳月が必要だった。第1世代のペダリングモニターシステムがテスト販売の日を迎える2013年7月まで、開発は続き、試行錯誤が続いた。

そこに至るまでビジネスの旨味はまったくない。ある意味、経営陣の忍耐強さには敬服するところだが、経営陣ならびに藤田氏、碓井氏も我慢ができたのは、大きな期待感があり、手応えを得ていたからにほからない。

開発過程では、奇跡的な巡り合わせがいくつかあり、他社製品をしのぐ革新的な機能の創出などにつながっていく。開発過程の事業化に向けた大きな推進力になっていったのだ。