国内は合格、海外は不合格

戴社長に、これまでの7カ月間の経営について、自己採点の結果を聞いてみた。

「10点満点中6点」と戴社長は語り、「国内は合格点だが、海外は不合格」とする。

4月から始まる2017年度には、欧州市場におけるシャープブランド製品の展開強化、ASEANでのラインアップ拡大、中国市場での鴻海との連携による体制強化、そして、米国市場での体制の立て直しなどにも挑む考えを示す。

とくに、米国では、前経営体制下において、米国市場におけるシャープブランドのテレビ販売のライセンスを中国ハイセンスに供与。「私は、いまはなにもできない状況にある」(戴社長)とする。

だが、戴社長は、この改革にも意欲的だ。

「経営は難しいことにチャレンジするものである。ハイセンスとの話し合いも、ネゴシエーションが大切。がんばればできるといった気持ちを持っている」とする。

米国では、液晶パネル工場建設計画も浮上しており、これを最大限生かすためにも、米国市場において、自らがシャープブランドを販売できる地盤づくりは急務といえる。

シャープといえば世界の亀山工場

「ここ2~3年のシャープは、守りが多かったが、これからは攻めの戦略へと転換する。そのためには、既存領域に留まらず、技術への積極投資、グローバルでのブランド強化、新規事業の加速という3点から取り組むことになる。詳細については、5月中旬に発表予定の中期経営計画において説明する」と、戴社長は述べる。

シャープが回復基調にあるのは明らかだ。だが、過去には、黒字化しては赤字に陥るという事態に陥ったこともあり、外野からみれば、将来の業績に対する不信感はいまだ払拭しにくい。しかし、鴻海流の経営手法の導入で、シャープの企業体質が変化しているのは明らかだといえるだろう。

その上で描かれる5月中旬に発表予定の中期経営計画の内容はどうなるのか。次は、鴻海流の攻めの戦略の描き方が注目される。