NTT西日本、ジーアイサプライ、ロートピアの3社は12月16日、ロートピアが運営する奈良県天理市の春日台カントリークラブにおいて、従来方式と比べて低コストでゴルフカートの位置情報の管理を可能とするLoRaWAN対応GPSトラッカーを用いたLPWA(Low Power Wide Area)フィールドトライアルを2016年12月下旬から開始すると発表した。

ジーアイサプライは、リアルタイム位置情報を利用するサービスを2014年4月から、除雪車・重機・ごみ収集車などの車両管理、鳥獣被害対策、ポスティング・システムの効率化などの分野へ提供している。NTT西日本は、「LPWAネットワークを活用したフィールドトライアル」を2016年6月に開始し、農業や空調管理など多様な分野のパートナーとのコラボレーションを通じ、IoT導入の低コスト化に貢献するLPWAネットワークの利用に取り組んでいるとのこと。

両社は、多様化する位置情報の利用ニーズに対応できる事業の創出を目的に、ジーアイサプライのGPSトラッカーの技術とNTT西日本のLPWA技術を活用し、春日台カントリークラブでトライアルを実施する。

通常、ゴルフ場ではリアルタイムでのカート運行管理システムの導入により、スロープレーを事前回避し、ゴルフ場の資産の有効利用が可能になるという。しかし、初期導入費用や維持費が発生するとともに、トラッカーのバッテリーの消費による日々の充電作業など、稼働増加が課題になっているという。

同トライアルでは、これらの問題を解決できるカート運行管理の実現を目指す。なお、同トライアルでは同クラブのゴルフカート25台にLoRaWAN対応GPSトラッカーを取り付け、通信電波強度やバッテリー消費量などを測定。

また、GPSトラッカーをNTT西日本のLPWAネットワークに接続し、ジーアイサプライが提供するトラッキング・アプリ「ezFinder BUSINESS」上にゴルフカートの位置をリアルタイムに表示することで、効率的なカート運行管理の実現を目指す。

具体的には、LoRaWAN対応GPSトラッカーの動作確認・バッテリー寿命・消費電力の測定および、GPSトラッカーの状態監視サービスに求められる機能・運用方法を検証する。

同トライアルにおける3社の役割として、ジーアイサプライがLoRaWAN対応GPSトラッカーおよびezFinder BUSINESSの提供、NTT西日本がトライアルに関わるLoRaWAN方式のLPWAネットワークの提供、ロートピアがトライアルフィールドの提供及びゴルフカート運用実態との比較検証を、それぞれ担当する。

今後、ジーアイサプライとNTT西日本は、トライアルで得たLoRaWAN対応GPSトラッカー及びLPWAネットワーク技術に関するノウハウをベースに、車両の巡回管理や盗難防止対策など、多様な分野でのIoT利用シーンの創出を進めていく。

なお、LoRaWANとはセムテックやIBMなどの「LoRa Alliance」メンバーが策定したIoT向け通信規格の1つであり、名称は米Semtechの商標。