NTTデータとニューソンは11月17日、スマートグラスやスマートデバイスを活用して現場作業を支援する「遠隔作業支援システム」を共同で開発し、同日よりニューソンから販売を開始すると発表した。
説明会では、初めに、技術革新統括本部 技術開発本部 エボリューショナルITセンタ 技術開発本部長の風間博之氏が同社の研究開発における新システムの位置づけについて説明した。
同社では「先進技術イノベーション領域」「生産技術領域」「方式技術領域」「セキュリティ技術領域」を研究開発領域としており、技術開発本部では先進技術イノベーション領域を担当しているという。
先進技術イノベーション領域はAI技術、IoT、ロボティクスなどによるサービス創出を目指しており、今回発表されたシステムもここに該当する。
風間氏は、スマートグラスを活用した遠隔作業支援システムにおいては、今後、収集したデータをどのように活用するかが課題になってくるとして、データの分析にAI技術を組み合わせることで、自動応答を実現するなど、ステップアップしていきたいとした。
続いて、シニア・エキスパートの小山武士氏が、スマートグラスを活用した遠隔作業支援システムについて説明を行った。同氏は同システムが「機器の保守・整備、訪問医療などの現場に赴いて作業を行う作業者と支援者をサポートするシステム」としたうえで、両者にメリットをもたらすと述べた。
「遠隔作業支援システムでは、大きく『現場とのコミュニケーションを支援』と『現場での単独作業を効率化』といった2つの方向から、支援者の負担軽減、保守対象のダウンタイムの低減、作業や現場教育の効率向上といったメリットを提供する」と小山氏。
特徴の1つとして、作業の開始から終了までに必要な一連の支援機能を提供する点がある。現場作業を単独で実施するために、作業に必要な情報(手順、マニュアル、作業動画)の提示や作業結果のデータを取得する「単独作業支援機能」、遠隔のベテラン技術者とコミュニケーションを取り作業を実施する「コミュニケーション作業支援機能」を提供する。
また、スマートグラスに最適な操作インタフェースを備えており、両手を使わなくても快適に操作できる点も特徴となっている。同システムでは、音声に加え、首振りによるジェスチャーと頭の傾きによって制御するジャイロマウスで操作できる。
さらに、小山氏は同システムの特徴として、多くの企業で実施した実証実験・試行導入から得たユーザーの声を反映させた機能を搭載している点を挙げた。例えば、オフラインでの利用、監督者からのカメラ操作、作業者の音声メモ録音といった機能が、ユーザーの意見を基に追加された機能だ。
説明会では、デモが行われ、支援者からの支持を受け、遠隔の現場で作業を行う様子が披露された。
小山氏は競合製品に対するアドバンテージについては、同社のAI技術との連携によりデータ活用が見込めるとした。
販売は、基本パッケージ・ライセンスとクライアント・ライセンスを組み合わせる形となっており、2年目以降はクライアントライセンスと保守費が必要となる。